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[ 2017年10月31日付 ]

〜 さらなる低雑音化が、ついにセパレートを超えた!? 〜

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、Accuphaseから発売される 純A級インテグレーテッド・アンプ『 E-650 』をご紹介!瑞々しいサウンドで、完成度の高いプリメインアンプです。

Accuphase 「E-650」
究極の純A級インテグレーテッド・アンプ完成!

アキュフェーズのインテグレーテッド・アンプ(以下、プリメインアンプ)には、「E-270」(2016年11月発売)、「E-370」(15年11月)、「E-470」(14年11月)、「E-600」(13年11月)の4機種があり、いずれもそれぞれの価格帯で人気を独占し、ベストセラーを続けています。

発売時期はいずれも年代わりの11月ということで、予想通り今年は最上位の「E-600」の番だということは誰もが予想できたことではありますが、それをキッチリ守り律儀に出してくる所にこそ、アキュフェーズのアキュフェーズたる所以でもあります。

「E-600」をおさらい!

まずは、4年前に発売された「E-600」について少しお復習いしておきましょう。 以下は、筆者が発売当時に書いたブログでの主なコメントです。

アキュフェーズの純A級プリメインアンプは、2002年「E-530」、2005年「E-550」、2009年「E-560」と、その地歩を固めて行きました。一号機の「E-530」以来、クラシックファンを中心にアコースティック楽器やボーカルを中心にお聴きになっているオーディオファイルに絶大な支持を受け、国内はもとより海外、特にドイツでの評価が非常に高いのです。

「E-600」は、セパレート・アンプのグレードを追求、いままでアキュフェーズが培ってきた高度な設計テクノロジーを結集、さらに進化した『AAVA(Accphase Analog Vari-gain Amplifier)方式ボリューム・コントロール』を搭載、最新回路と高品位グレードの素材によって、同社の40周年記念セパレートアンプ「C-3800」「A-200」のエッセンスを可能な限り注入して完成したのです。

そして本機の"肝"とも言うべき純A級パワーアンプ部には、最新の『インスツルメンテーション・アンプ構成』を導入しており、信号入力段を含めたパワーアンプ全体がバランス構成を採用すると言う贅沢極まりない内容となっています。これによって機器内で発生する雑音の排除や低歪を実現するとともに、周囲の環境変化にも強い仕様となっています。また、帰還インピーダンスを下げてより一層の低雑音化を実現しています。

この純A級プリメインアンプ「E-600」を手にされたオーディオファイルの満足度は、巷のセパレートアンプのそれを大きく上回ることは確実です。

その後の「E-600」の人気ぶりはご存知の通りで、この価格帯のプリメインアンプとしては異例の大ヒットを記録したのです。その性能が"巷のセパレートアンプ"を大きく上回ったことが本機のヒットに繋がったのだと思います。 その完成度の高い「E-600」に何をどうすれば更なる性能アップが可能なのか、恐らくアキュフェーズ社内でも大いに悩まれたであろうことは想像に難くありません。

初めて採用される「Balanced AAVA」

今回の『 E-650 』で"肝"となるのは、何と言ってもプリアンプ部に採用された《Balanced AAVA》です。前述のように《AAVA》は前作でも採用されていましたが、今回の《Balanced AAVA》は、プリメインアンプでは初めてであり、プリアンプでもフラッグシップの「C-3850」にしか採用されていません。因みに「C-2850」は《Balanced AAVA》ではありません。

《AAVA》は、プリアンプ部の機能の中で音質を左右する最も重要な部分である音量調整機能に《可変抵抗ボリューム》を使用しないボリューム・コントロール方式です。これにより、音楽信号がインピーダンス変化の影響受けないため、高SN比、低歪率のまま、音質変化もなく音量を変えることができるのです。

ただ前作に採用されていた《AAVA》は、バランス入力→アンバランス出力でしたが、『 E-650 』では「C-3850」同様、《AAVA》を2回路平衡駆動とし、バランス入力→バランス出力の『完全バランス回路』を実現したのです。

これによりプリアンプ部とパワーアンプ部をバランス接続とし、入力から出力までの信号の完全なバランス伝送が実現したのです。その結果、「E-600」に比べてボリューム最大時で約3dB、通常使用状態の-30dBでも約1dBの低雑音化が実現できたのです。この1dBは数字こそ小さいですが実に大きな成果です。

パワーアンプ部は従来通り出力段はMOS-FETの3パラレル・プッシュプルで、低インピーダンス負荷(音楽信号では1Ω)にも対応しています。さらに「E-600」の"肝"でもあった《インスツルメンテーション・アンプ》(+と−入力の条件を揃えて高性能なバランス伝送を実現する高精度測定器などで使われるの回路)を見直すことで、前作に比べさらに約1dBの低雑音化も果たしています。

その他の『 E-650 』の特徴

そして『 E-650 』のもう一つの"肝"となるのが、ダンピングファクターの大幅な向上です。スピーカーを守る出力リレーには前作同様に信頼性が高く長期の安定性に優れた半導体を採用していますが、本機ではさらにON(オン)抵抗の低い《MOS-FET》(「E-600」:2.6Ω→『 E-650 』:1.6Ω)が採用され、ダンピングファクターが500から800に向上したのです。これはかなりの差となって音質に現れそうです。

電源部も強化され、『 E-650 』専用に大型高効率トロイダルトランスを開発すると共に、平滑コンデンサーも新開発のカスタム仕様の50,000μF(「E-600」は47,000μF)×2個に容量アップされ、プリメインアンプと言うより大型パワーアンプ並の強力電源となっています。

これらの結果、定格出力こそ前作同様30W/8Ω、60W/4Ω、120W/2Ω、150W/1Ω(音楽信号に限る) ですが、実使用時の最大出力(「E-600」→『 E-650 』)は65W→75W/8Ω、110W→125W/4Ω、160W→190W、210W→220Wといずれもアップしており、これこそ電源部の強化の成果だと思います。

デザインやフィーチャーも強化されています。アキュフェーズ・アンプのシンボルでもあるパワーメーターの視認性が向上し、-40dB以下の目盛りを2つ増やしたことで小音量時にもメーターが振れやすくなっています。また「E-600」ではガラス内にあった状態表示LEDをパネル面に出したことで洗練され確認しやすくなっています。

そしてハイエンドアンプには不可欠な粘性のあるボリューム操作は前作同様高級感があり、同社の中級プリアンプと同じオリジナルの重量級ボリューム(センサーユニット)を採用しています。またボリュームとセレクターの周囲には「C-3850」と同様のリングがあしらわれており、高級感がアップしています。これらの結果、重量も「E-600」より600g増の25.3kgとなったのです。

試聴しました

さて、『 E-650 』の音質については日本橋1ばん館で前作「E-600」と比較しながら確認しました。

まず驚かされたのは、『 E-650 』のサウンドの鮮度感の高さです。「E-600」もプリメインと言うよりはセパレートアンプ並の雑味の無さ、透明感は十分あったのですが、それにも増して何と瑞々しいサウンドなんでしょう。これこそまさにセパレートの領域と感じました。

中低域についても、「E-600」も包容力のある豊かなサウンドではあったのですが、さらに厚みのある実在感を伴うリアルさに思わず’"生音"を意識させられました。高域はどこも引っ掛からず実に抜けの良いもので音離れは抜群でした。

特にピアノでは前作との差が顕著で、立ち上がりの瞬発力、音のエッジの再現性など情報量は圧倒的でした。またピアノの響きの減衰の仕方も自然で、この当たりに『 E-650 』のS/Nの良さが際立って感じられたのです。

空間の再現性もプリメインのレベルのそれではなく、音場が前作より広がって感じられ、コンサートホールやスタジオの広さが感じられる程自然でクリアなものでした。

そして音楽性の素晴らしさは、国産プリメインがついにここまで来たかと思わず唸ってしまいました。セパレートアンプ不要論も出て来そうな、それ程に完成度の高いプリメインアンプ『 E-650 』の登場です。

(あさやん)



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