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[ 2017年11月21日付 ]

"UESUGIアンプ"の存在意義とは!?『UESUGIは不滅です!』〜上杉研究所製品の取り扱い再開のお知らせ〜

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、日本を代表するハイエンド・オーディオ専業メーカー「上杉研究所」の歴史と最近の製品をご紹介いたします。 オーディオマニアを惹きつける魅力あるブランドです。



 ■ 上杉研究所製品の取り扱いを再開いたしました

国内のネット通販サイトで、「アキュフェーズ」と「上杉研究所」の両社の製品を取り扱っておりますのは、私どもJoshin webショップ以外にないのではないかと思います。両社とも日本を代表するハイエンド・オーディオ専業メーカーであり、アンプの増幅素子として、片や半導体、片や真空管を使うメーカーの双璧として、長らく国内市場に君臨し続けています。

Joshin webショップがその両社の製品を取り扱っていることこそ、Joshin webショップと両社との"会社同士の絆の証"であり、"相互信頼の賜"と自負いたしております。

ただ、「上杉研究所」の製品は、とある理由により昨年末より一時掲載を中止させていただいておりましたが、この度掲載の復活を果たしましたので、改めて同社の歴史と最近の製品を今一度ご紹介させていただきたいと思います。

 ■ 上杉研究所の歴史

有限会社「上杉研究所」は、アンプ設計者であり、オーディオ評論家でもあった、故 上杉佳郎氏(2010年12月9日死去)が1971年に設立した真空管アンプの専業メーカーです。

上杉氏は1964年大学4回生の時、その技術力を買われ、当時高級アンプ・メーカーであった「エロイカ電子工業梶vに常務取締役技術部長として迎え入れられました。しかし2年後退社、1967年からは、オーディオ雑誌や音楽雑誌の評論家として人気を博しました。しかしアンプ・メーカーへの夢が捨て切れず「上杉研究所」を興したのでした。

その「上杉研究所」の第一作目の製品が、1973年発売の管球式のモノラルパワーアンプ「UTY-1」で、その後数々のヒット作を生み出しています。ただ、上杉氏はオーディオ評論家という立場にありながら、"UESUGIアンプ"に対する評論は一切行なわない立場を堅持したことでも有名です。それ程に真面目で純粋な方でもあったのです。

現在の同社の代表者である藤原伸夫氏は、上杉氏から2009年に「一緒に仕事をしませんか」との誘いを受け、後継者として参加することを決断したのですが、その矢先、同社創業40周年を目前にして上杉氏が急逝されたのでした。しかし藤原氏が、故人の遺志を継ぐ形で2011年に正式に同社の事業責任者となって開発責任を受け継ぎ、事業が継続されることになったのです。

藤原氏は、元ビクターのオーディオ技術者であり、超弩級モノラルパワーアンプ「ME-1000」(1995年当時1台150万円)や高級CDプレーヤーなど、数々の人気機種を世に送り出され、その技術手腕には定評がありました。しかし当時からその能力の高さに決して驕ることなく、非常に紳士的で謙虚な姿勢には感心させられました。

上杉氏と藤原氏の両氏を知る筆者としては、両氏にかなりの共通する部分を感じます。それは、技術力・設計力であるのはもちろんのことですが、両氏のオーディオに対する真摯な姿勢や謙虚さ、そしてクラシック音楽への造詣の深さなど、「上杉研究所」の後継者としては、藤原氏こそドンぴしゃの人選であると感じたものでした。

藤原氏曰く、現在日本でハイエンドオーディオに親しまれているオーディオマニア人口は約10万人。内、"UESUGIアンプ"のユーザーは約1万人いるのだそうです。マーケットとしては小さいものの、一度UESUGIアンプの魅力にはまってしまったマニアは、そこから抜け出せないのだと言います。

ハイエンドオーディオの世界では、ご自分の理想の音を実現することを人生の目標としているようなマニアの方も多く、数十年来の"UESUGIアンプ"もファンがたくさんいらっしゃるとのことです。また同社では、ユーザーからの修理の依頼に十分応えることができ、適切な対応が可能なことから、さらにファンのロイヤリティが高まることにも繋がっているのだと言います。

このように「上杉研究所」はファンを大事にし、個性豊かな製品を世に送り出すことで、海外製品が押し寄せる昨今のグローバル化したハイエンドオーディオ市場にあっても、オーディオマニアをグイグイ惹きつける魅力あるブランドとなっているのです。

 ■ "UESUGIアンプ"の最近の製品をご紹介

@真空管式フォノイコライザーアンプ『 U-BROS-220 』

1993年に発売されロングランを続けていた「U-BROS-20」の後継モデルとして登場。これ程のロングランこそUESUGIならではのことで、移り変わりの激しいオーディオ市場にあって、まさに奇跡と言える製品です。それ程に完成度が高かったとも言えます。

「U-BROS-20」は故 上杉佳郎氏の作でしたが、『 U-BROS-220 』は新メンバーによる製品であるが故に、“UESUGIアンプ”のあの魅力を生かしつつ、アナログ新時代を見据え、現在に通じる高性能化を果したとしています。

イコライザー段には動特性を重視して、無帰還CR型回路を採用。入力はアンバランス2系統に加え、一層の低雑音伝送を可能とするバランス伝送に対応したバランス入力端子を1系統備えています。すべての端子がMM型/MC型カートリッジに対応しています。ただし出力は、同社のプリアンプを前提としているためアンバランスのみです。

特にMC入力には、大型コア採用による低損失、高効率の高性能MCステップアップトランスを内蔵することで、現在主流の低〜中インピーダンスMCカートリッジのダイレクト再生を可能としています。ヘッドアンプ受けのフォノイコライザーが大多数を占める中にあって、MCカートリッジのトランス受けは大いに魅力的です。

またこれもUESUGIならではですが、初段の増幅部には、真空管の全盛時代に当時の松下電器に特注した貴重な低雑音の双3極管(12AX7A)が、L/R専用使いで贅沢にも2本使用(本来は1本でL/R両チャンネル受け持たせることができる)されています。この結果L/Rチャンネル間のクロストークも大幅に改善されたのです。

さらに、次段アンプならびに出力バッファーには、フィリップスの軍規格「12AT7」を使用し、高信頼性と共に真空管式フォノアンプの限界ともいえる入力換算雑音値-120dBV 以上(MM)を達成したとしています。このように、『 U-BROS-220 』は、「上杉研究所」が多数ストックしている真空管を惜しげもなく投入した貴重な製品とも言えます。

またL/Rチャンネルを独立シャーシー構造に改め、電源も独立電源にて供給しています。入力切替回路やMCステップアップトランス部は配線の引き回しを最短とするため入力端子の直近に配置しています。電源回路や信号増幅回路にはプリント基板を一切使用せず、40年以上のキャリアのある職人による芸術的ともいえる手配線を引き継いでいます。

本機のサウンドは、最近のフォノイコライザーに見られるような、デジタル音源ではないかと見紛うようなサウンドとは対極にある、実に柔軟で人間的な温もりを感じさせるもので、厚みを伴った安定感のあるサウンドは、アナログの魅力を存分に味わうことができました。

A真空管式ステレオラインプリアンプ(ワイヤレスコンソール付)『 U-BROS-280 』

本機はラインレベル専用のプリアンプで、通常のアンバランス入力に加え、タムラ製作所製のバランス→アンバランス変換トランスを搭載しバランス入力を受けることができます。電源部を含め回路はすべてデュアルモノラル構成とし、L/Rチャンネル間のクロストークはもちろん、f特の向上、歪みやノイズの低減にも寄与しているとしています。

「上杉研究所」初となるリモコン(ワイヤレスコンソール:セレクターとボリュームコントロール)操作が可能で、コントロールノブにアンプ本体と同一部品を使うという懲りようです。

『 U-BROS-280 』のサウンドは、真空管を過度に意識したマイルド一辺倒なレトロなものではなく、最新のハイエンド機器に通じるニュートラルで自然な、実に透明感のあるものです。もちろん艶やかさや温度感は従来の"UESUGIアンプ"の魅力を継承していることは疑いようがありません。

このように新生「上杉研究所」となって早6年。“UESUGIアンプ”の魅力を維持しつつも、そこに新しい現代的なエッセンスを加え、絶妙なハーモニーを奏でる真空管アンプ。

『UESIGIは不滅です!』(あさやん)


「U-BROS-220」・「U-BROS-280」はこちら!

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