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[ 2018年6月12日付 ]

 ハイエンドオーディオに新たな息吹! M2TECH『 YOUNG MKIII 』 〜 イタリア発の革新的な超多機能USB-DAC&プリアンプ誕生 〜
ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、常に先を見据えた製品開発を続けるイタリア発のオーディオメーカーM2TECHより、超多機能USB-DAC&プリアンプ『 YOUNG MKIII 』をご紹介!



■ DDコンバーターで一躍有名に! イタリア発のオーディオメーカーM2TECH

M2TECH(エムツーテック)はPCオーディオ聡明期の2009年に、「HI-FACE」というDDコンバーターを発表して注目されるようになった、デジタルに特化したイタリア発のオーディオメーカーです。「HI-FACE」はPCのUSBスロットにそのまま挿せるUSBメモリサイズのDDコンバーターで当時大ヒットとなりました。

その後、2010年に据置型のUSB DAC「YOUNG」を発売、2014年に「YOUNG DSD」に進化したのでした。そして2017年末、今回取り上げます『 YOUNG MKIII 』となって登場したのです。前作「YOUNG DSD」の基礎設計を踏襲しつつ、DACチップには定評のあるTI「PCM1795」や、電子ボリュームなど、最新かつM2TECH独自のアイデアが多数盛り込まれて製品化されました。

■ 常に先を見据えた製品開発を続けるM2TECH

M2TECHは自社の使命を、「音楽再生方法におけるテクノロジーの内容と変化を考慮に入れながら、家庭での娯楽用の装置とソフトウェア・パッケージの形態で、新しい方法論で心地よく、簡単にオーディオ・コンテンツにアクセスできるようにすること、そして高品質な音楽探究の体験を保証する事」としています。

また同社は、重厚長大かつ高価格のハイエンド製品には一切手を染めず、ひたすらサイズ的にも価格的にも、海外製としては異例な程のリーズナブルで小型の製品を供給し続けており、前述の自社の使命に対する誇りを貫き通しているように見えます。

その結果、M2TECHは常に先を見据えた意欲的な製品開発を続けて来たのです。M2TECHの製品開発者のマルコ・マヌンタ氏は、これまで数多くのハイエンドブランドのデジタルモジュールの開発を手掛けて来ており、デジタルオーディオ界では大いに名を馳せた最重要人物だと言います。

「YOUNG」は2010年の発売時、当時一般的にはまだ24bit/96kHz対応が主流であった時期に、すでに32bit/384kHzに対応させており、市場では大きな驚きをもって迎えられました。これは8年経った今でもハイレゾ・オーディオとしてはトップクラスの仕様です。

当時のカタログには、「32/384のスペックを実現する録音機材はまだないが、24/192の楽曲を再生する際に、スペックが24/192のDACで再生するよりも、32/384のDACで再生した方が音が良いのは当然で、日進月歩で進化する今、32/384対応のADCが登場し、32/384で収録された楽曲が登場した時、24/192のDACでは音の良し悪し以前に再生することさえできなくなります。」としています。この同社の先見性には驚きです。

その8年前の予言通り、デジタル音源の移り変わりは非常に早く、様々なフォーマットや伝送方式が登場し、ユーザーにとってはもちろんメーカーにとっても混乱気味の昨今です。そんな中、M2TECHのもつ最先端のノウハウをつぎ込んで完成した『 YOUNG MKIII 』は、今後のハイレゾ・オーディオの指針ともなる製品と言えます。

■ 『 YOUNG MKIII 』のスペックとは
『 YOUNG MKIII 』のフロントのデザインは、前作「YOUNG DSD」に比べ筐体や表示機能が洗練され、かなり高級感を与えられています。スペックもDSDが5.6MHzから11.2MHz(DoPは5.6MHz)対応にグレードアップし、新たに同社としては初めてMQAにも対応しています。さらに伝送方式に高音質なapt-Xコーディングに対応したBluetooth機能まで装備しています。



もちろん、PCMは32bit/384kHzに対応しており、MQA-CDをリッピングしたソフト(※)の再生では、352.8kHz(44.1kHzの8倍)にデコードされ、実際に写真の様な表示となりました。DACチップはTI(バーブラウン)製の「PCM1795」でPCM/DSDともにネイティブで対応、電子ボリュームにはCirrus Logic「CS3318」を採用し、プリアンプとしても十分な実力を得ています。 (※CDプレーヤーからのデジタル接続でのMQA-CDの再生は出来ません。一旦リッピングしてのデータ化が必要です。)



USB以外のデジタル入力は、AES/EBU、RCA同軸(前作はBNCもあった)、TOS光を装備、RCAアナログ入力が1系統あります。アナログ出力はXLRバランスを1系統持っており、シングルエンド接続をするためのRCA変換アダプターも付属しています。また、出力電圧の上限を2つの数値に設定することが可能で、真空管(10Vrms設定を推奨)を含むいかなるパワーアンプでも最高出力を得られる設計となっています。もちろん同社のパワーアンプ「CROSBY」ともデザインを含めベストマッチングとなります。



少々難しくなりますが、回路的には前作の基礎設計を踏襲しており、入力信号のコントロール部にはXilinx FPGA(設計者が構成を設定できる集積回路)を使用。バッファー回路には、パッシブ・アンチエイリアスフィルター、I/V変換に伴うオフセット除去回路を採用するなどして、圧倒的に低いノイズフロアを実現できたとしています。


■ 試聴しました
『 YOUNG MKIII 』のサウンドと操作性は、筆者自宅で確認しました。バランス出力を直接パワーアンプに入れ、本機のボリュームを使って試聴しました。

横幅200mmとコンパクトですが、筐体がしっかりしているため見た目以上の重量感があります。デザインも奇をてらったものではなく、シンプルで好感が持てます。付属のリモコンは中型の多機能なもので、プリアンプ機能もリモコンで全て操作出来ます。特に本体のボリュームツマミが小さいためリモコンの方が操作は確実です。またプレイソフト「foobar2000」の選曲もこのリモコンで可能なことには驚きました。

サウンドは実にハリのある若々しいもので、脚色を一切感じさせない生々しさが一番の魅力です。中低域には弾力感があり、高域には爽やか感があります。音楽を十分に楽しませてくれる、明るさたっぷりのサウンドでした。

ボーカルはしっかり前に張り出し実在感があり、声の肉質感をしっかり再現してくれました。低音の伸びは標準的ですが、ここでもダンピングの効いた実在感を伴ったものでした。ギターやブラス楽器のキレが良くカラッと明瞭に再現してくれました。

そしてMQAソフトの再生は圧巻で、通常CDフォーマットとの差は歴然でした。伸びやかさ、密度感、低域の伸び、中域の滑らかさなどなど、全ての面で大きく上回っており、ハイレゾの素晴らしさを実感しました。DSDの滑らかな質感にPCMのしっかりしたサウンドが加わったレベルの非常に高いハイエンドの世界が展開されました。

さらに『 YOUNG MKIII 』は、スマートフォンやタブレットから高品質な音楽を直接ストリーミングすることができるBluetooth(※)レシーバーをも内蔵しており、従来からのワイヤード環境一辺倒のハイエンドオーディオの世界を、より柔軟にしていきたいと言うM2TECHの考え方が垣間見えるような気がします。 (※BluetoothもMQAも信号のやりとりは、M2TECHが得意とするPCMフォーマットで行うため、信号処理能力に対する信頼性は極めて高い。)

『 YOUNG MKIII 』は、最新かつM2TECH独自のアイデアがたっぷり盛り込まれた超多機能USB-DAC&プリアンプです。 イタリアからの"ハイエンドオーディオの新たな息吹"を感じます。

(あさやん)


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