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[ 2018年8月28日付 ]

SOULNOTEフラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』が今、大注目!!
〜 ESS製DACチップES9038PRO×4とフェムト・クロックにより具現化した究極のデジタルとは 〜
ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
CSRがSOULNOTE(ソウルノート)ブランドを引き継いで丸2年。元気の無かった国内オーディオ市場に2016年には「A-1」「C-1」「A-0」、2017年には「E-1」「D-1」と、話題の製品を次々と投入し、少なからずミドルクラスのオーディオ市場を活性化してくれました。

2017年末にはアキュフェーズ、ラックス、エソテリックの御三家に対抗すべく、高級プリメインアンプ「A-2」とフォノイコライザー「E-2」を投入。ハイエンドオーディオ市場に参戦したのです。さらに今夏、フラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』がラインナップに加わりました。自宅での試聴を含めレポートしてまいります!


■ 『 D-2 』に迫る!

『 D-2 』の外観はSOULNOTEの一連の製品と同じく、オリジナリティのある立体的で重量感のあるアルミフロントパネルを採用し、筐体は「A-2」と同じ大きさで、重量は17kgにも達しています。プラチナム・シルバーとプラチナム・ブラックの2色が用意されています。

『 D-2 』の最大のトピックは何と言っても、業界で初めて"ESS製DACチップ「ES9038PRO」"を合計4個搭載し、それにSOULNOTEの得意技「完全対称無帰還ディスクリートアンプ」を組み合わせたことです。初代の「D-1」は「ES9038PRO」を左右独立で2個搭載していましたが、『 D-2 』ではチャンネルあたり2個を割り当てるという徹底ぶりです。



「ES9038PRO」は、IV回路(電流-電圧変換回路)も抵抗1本によるシンプルな回路とし、NFBを採用するアンプで生じるTIM歪(過渡相互変調歪)を排除できたのです。120mAの強力な電流出力を誇る「ES9038PRO」を片チャンネルあたりダブルで使用することで、"さらに自然で生命力に満ち溢れた音楽再生が可能になる"としています。なお、「ES9038PRO」は最高音質の得られるシンクロナスモードで動作させているとのことです。



そしてもう一つのトピックは、DDS(Direct Digital Synthesizer:マスタークロックの出力回路) に、超高精度のTI(テキサスインスツルメント)のPLLatinum™RFシンセサイザー「LMX2594」を採用していることです。

オーディオ機器では数10ps(ピコ秒)オーダーのジッター(クロック立ち上がり波形の揺れ幅)性能のDDS用ICが一般に採用されていますが、『 D-2 』では測定器やレーダー用に開発されたジッター45fs(フェムト秒:フェムトはピコの1/1000)という、世界最高レベルのスペックのオーディオ用DDSを同社として初めて採用したのです。さらに、SOULNOTEとして初めて10MHz外部基準クロック入力も装備しています。やはりデジタルの"肝"はクロックということなのです。

また、従来のFIR(デジタルフィルター)オーバーサンプリングモードに加え、デジタル領域における無帰還化とも言えるNOS(ノンオーバーサンプリング)モードを新たに採用。これにより、FIRオーバーサンプリングのインパルス応答では避けられないプリエコーやポストエコーが発生しないということです。

FIRオーバーサンプリングフィルター
でのインパルス出力波形
NOS モードでのインパルス出力波形
プリエコーやポストエコーはデータを補間するために前後のデータから演算で作り出した人工的な「音」であり、これにより正弦波などの波形は見た目滑らかになりますが、演算のアルゴリズムで音質が変わったり、時間軸的な曖昧さが付加されます。

これは極めて過渡応答性能に優れた無帰還ディスクリートアンプとのコンビネーションで初めて実現できる波形です。音楽波形は高さの違うインパルス波形の連続であるため、NOS モードにより時間軸情報の曖昧さが払拭され、時間軸に対して非常に敏感な人間の聴覚に、よりリアルで自然な音質、空気感をもたらします。(※なお DSD はNOS モードにはなりません。)

デジタル入力はUSB×1と同軸デジタル×2、AES/EBU×1で、USBでは768kHz/32bitまでのPCMと22.6MHzまでのDSDに対応しています。同軸デジタルとAES/EBUではPCMが192kHzまで、DSDは2.8MHzまでです。アナログ出力はXLR(5.6Vrms)とRCA(2.8Vrms)を各1系統を装備しています。




SOULNOTEのお家芸でもあるディスクリート完全対称無帰還差動アンプは、電源整流部も含めて左右チャンネル完全独立のツインモノコンストラクションを採用しています。音声信号や電源経路からコネクターケーブルを排除し、大電流を扱うトランスからの配線も最短化しています。また、各ステージの整流回路を独立させて、相互干渉を防止しています。

電源トランスには、ハイパワーアンプ並の400VAの2次側8巻き線の大型トロイダルトランスを本機のため新開発して搭載。あえてトランスを1個としているのは、振動源であるトランスによって生じる筐体の振動モードのシンプル化を図るためで、不要な振動はトランス直下のスパイク足から筐体外に排出するのだとしています。

動作モードは「STEREO」の他「MONO Lch」「MONO Rch」を選択可能。MONOモード時は反対チャンネル側のES9038PROを停止することで電源の余裕が倍増され、チャンネルセパレーションが事実上無限大にすることができます。

そしてもう一つトピックがあります。それは画期的なデータ転送方法である「Bulk Pet」を採用していることです。一般的にPC-AudioではIsochronous(アイソクロナス:定期的にPCとデバイスの間にデータが流れる通信)転送方式によってデータを転送しています。『 D-2 』ではインターフェイス社が新たに開発したバルク転送方式(※)とする事で、パソコンおよびD/A コンバーターの負荷の軽減が実現でき、再現する音質をさらなる次元へ導くとしています。Bulk Petを使用するには、専用ドライバーのインストールが必要です
※転送するデータの量と転送サイクルをコントロールする事で、転送するデータをできるだけ少なくして、連続的なデータ転送ができ、パソコンやD/A コンバーターの処理負荷を下げることができる。

なお、SOULNOTE製品は音質と安全性を最重視して回路電流を決めています。一般的にトランジスタの温度が高いほど性能が上がり、音質も良くなる傾向にあります。SOULNOTE製品は全て問題のない範囲で高めのトランジスタの温度設定としており、一般的な製品と比較して、セット温度は高めとなっています。

また、筐体、特にトップカバーやシャーシを防振し過ぎると、オーディオ再生のために必要な良い鳴きも止めてしまうとの考えから、音質を最重視して、あえてトップカバーやシャーシ等の防振は行っていません。叩くと素材の音がします。

これらは旧SOULNOTE時代から一貫しており、初めてお使いの方は、夏場の発熱量の多さやトップカバーを叩いた際に驚かれると思います。これらは全て音質のためなのです。


■ 試聴しました
『 D-2 』は自宅でも短時間ですが試聴を行いました。



梱包を開けた際の本体の大きさ、重さに圧倒されました。まさに物量投入型の最たるもで、ちょっとしたパワーアンプ並の筐体でした。D/Aコンバーターとしては異例な大きさで実に存在感のあるものです。

まずは、CDプレーヤーのデジタル出力を同軸ケーブルで接続しました。スケールの大きな安定感のあるサウンドで、アナログを彷彿とさせる立体的なサウンドで、生き生きとした自然で、吹っ切れ感のある、実に伸びやかなサウンドでした。

良い意味で国産屈指のハイエンドサウンドと言えるもので、圧倒的な情報量の多さ、細部の表現力、力強く伸びきった低音は、高精度クロック、強力な電源、そして何よりDACチップ「ES9038PRO」に負う所が大きいとも感じました。

ただ、ゆったり感や抱擁力を担うのではなく、正確無比で、エネルギー感、スピード感、そしてデジタルの素晴らしさを、さらに追求したい方にお勧めします。これだけの説得力のあるD/Aコンバーターはかつて聴いたことがないと断言します。

USB入力でのPCオーディオでも同様の傾向のハイエンドサウンドで、「Bulk Pet」の効果も大きく、細部の表現、安定感、透明感には一日の長があり、PCオーディオのさらなる可能性を大いに感じさせてくれました。

国産最高峰のD/AコンバーターSOULNOTE『 D-2 』が、かつてない究極のデジタルサウンドを実現します。(あさやん)


SOULNOTEフラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』


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