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[ 2018年10月2日付 ]

 今秋大注目! 1970年代のJBLの銘機「L100」が『 L100 Classic 』として復活!! 
ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
70年代に一世を風靡したJBLの銘機が『 L100 Classic 』として、半世紀ぶりに復活しました! ジャズをダイナミックに実体感を伴って、しかも十分な大音量で楽しみたいジャズファンにこそお勧めです!


■ 一世を風靡した「L100」

1971年発売の「L100 Century」は、JBLのプロフェッショナルシリーズ「4310」、後の「4311」「4311A」の民生用として登場し、1978年には「L100A」にモデルチェンジされた超人気ブックシェルフ・スピーカーでした。筆者も当時、オーディオシステムの購入に際して、「L100」にするかプロ用の「4311」にするか悩んだのを記憶しています。

「L100 Century」は、プロ用では当時最も小型の「4310」をベースに、信頼性・高音質をイメージしやすいプロ機のエッセンスを取り入れて開発された、同社初のプロ用と民生用の区分をまたいだ製品でした。その後の"43シリーズ"の大ブームにも繋がる、エポックとなったスピーカーでもあります。

70年代当時は、ジャズ・ポップス派はJBL、クラシック派はTANNOYとはっきり二分されていた時代であり、特にJBLは人気機種を多く抱えており、民生用では「L88 NOVA」「L64A」や大型の「L200」「L300」が人気を博し、プロ用モニターでは伝説の銘機「4343」を筆頭に「4325」「4333」そして「4350」など高価であったにもかかわらず、いずれも大ヒットしました。

そんな一世を風靡した「L100」が『 L100 Classic 』としてほぼ半世紀ぶりに復活したのです。それではJBLの持つ最新技術を投入して完成したという『 L100 Classic 』を詳しく見てまいりましょう。


■ 半世紀ぶりに復活! 『 L100 Classic 』

サイズがオリジナルより若干(幅2cm、高さ3.7cm、奥行2.2cm)大きめのミドルサイズのブックシェルフ型スピーカーです。一回り大きいのはオリジナルの123A(アルニコ)より、大型の新開発の30cmウーファーを搭載しているためのようです。25mm厚MDFによるウォールナット突き板仕上げで、内部はV字のブレーシング(補強桟)により強化されています。

また、本機で最も印象的なキュービック状になったフロントグリルのオリジナルデザインは、パラゴンやJBLのアンプのデザインを手掛けたアーノルド・ウルフ(当時JBL社長)によるものだそうです。『 L100 Classic 』では最新の耐候性(※オリジナルは経年変化でボロボロになった)を高めたQuadrex Foam製に変更され、しっかりした木枠フレームに取り付けられており、オリジナルの欠点を改善しています。カラーは、オレンジ(ORG)、ブラック(BLK)、ダークブルー(BLU)の3色から選べます。

輸入元のハーマンインターナショナルは、このグリルを装着した状態が本機のベストのサウンドだとしています。それは豊かな中低域をベースに、聴き疲れしない中高域を再現するすることで、ナチュラルな音質で音楽が楽しめることを目指しており、グリルを含めて本機のサウンドを決定しているとのことです。

次に使用ユニットについて順に見てまいります。

『 L100 Classic 』のために新開発されたウーファー「JW300PW8」は、2002年発売の「Project K2/S5800(バーチカルツイン)」に初搭載され、その後「4428」「4429」「4312SE」等に採用されたJBL史上最強の12インチ(30cm)ユニットと言われる1200FE系を、更に小音量から大音量に至るまでの低歪率化を図ったウーファーです。

具体的には、ピュアパルプ・コーンの振動板にJBL伝統のホワイトが映えるアクアプラス・コーティングを施すことで、剛性とダンピングをアップさせ、マグネットにはJBL独自のSFG(シンメトリカル・フィールド・ジオメトリー)磁気回路を採用し、最新の解析技術によって、大振幅時の対称性やリード線の動作まで最適化したとしています。細部にわたって徹底的に見直されています。

ミッドレンジ「105H-1」は、オリジナルの「L100」や「4312」ファミリーに搭載されていた5インチ(12.5cm)LE5系のユニットです。人気の「4312SE」にも採用され、コーン紙の裏面外周部にダンピング処理をして歪みを抑えた軽量パルプコーンが使用されています。変四角形のアルミダイキャストフレームも特徴的です。

クロス製で蛇腹状のアコーディオン・クロスエッジを採用することで、振動板の振幅が十分大きく取れ、JBLならではの中域の明瞭度を得たとしています。さらに耐熱性に優れたカプトン製のボイスコイルボビンを採用した銅線による25mm径のボイスコイルと、強力な大型フェライトマグネット採用の磁気回路によって、ダイナミックレンジがさらに拡大できたのです。

ツイーター「JT025Ti4」は1インチ(2.5cm)径ピュアチタン・ドームを採用しており、これはJBL伝統の明るく伸びやかなサウンドのために選択された最新バージョンです。フレームには穏やかな皿状のカーブをつけ、振動板上下に渡した凹みを持ったフェースプレート(イコライザー)と共に指向性をコントロールすることで、ミッドレンジとの繋がりがスムーズになったとしています。

その他には、フロントバッフルには、今となっては珍しいハイとミッドのレベル調整があり、リスニング環境やお好みに応じた調整が可能で、積極的に使って欲しい機能です。レベル調整ツマミの下にある大型のバスレフポート(スリップストリーム・ポート)は、開口部に大きなフレア(広がり)を設け、ポートノイズ(風切り音)や低音の強調感を低減しています。

ネットワーク回路にも最新のこだわりを見せており、高音質フィルムコンデンサーや空芯コイルを採用。リアの出力端子は伝統のシングルワイヤー仕様です。

そして『 L100 Classic 』専用のスタンド『 L100STAND(正式名:JBLJS120BLK) 』も用意されています。シンプルなスチール製ですが、仰角をつけツイーターの指向性軸をリスニング・ポジションに向けることで、周波数特性と音像・音場の最適化が得られるとしています。これは70年代の「L200」や「L300」にも見られた手法の復活とも言えます。

本機の設計者Chris Hagen氏は、JBLが誇る最新音響設計、新開発のユニットを投入することで、過去に同氏が関わった「4367WX」「4312SE」と同様に、高域から低域まで幅広いダイナミックレンジを持ちながら、バランスが良く、自然な音質を再現することに努めたとしています。Chris Hagen氏は、単なる銘機の復刻ではなく、現在に通じるサウンドを目指したのです。



■ 最後に
筆者としては、『 L100 Classic 』は、やはりクラシック音楽を品良く穏やかに楽しみたいクラシックファンにお勧めするのではなく、ジャズをダイナミックに実体感を伴って、しかも十分な大音量で楽しみたいジャズファンにこそお勧めしたいと思います。

まさに"これぞJBLサウンド"です。サイズを超えた音圧感とレンジ感でジャズの旨み、楽しさを再現してくれます。

スタイルこそノスタルジックですが、そこにはオリジナルには到底及ばない情報量を確保しつつ、JBLサウンドの伝統的な音楽の持つエッセンスやリアル感を兼ね備えているのです。

さらにオリジナルにはなかった空間表現力も獲得した、刺激感のないナチュラルサウンドは、最新の高音質ソフトにも十分対応してくれます。

"憧れのJBLサウンド"が、"憧れのデザイン"を纏って復活したのです。この秋最大の話題の一つであるJBL『 L100 Classic 』は大注目です。(あさやん)




JBL「L100-CLASSIC」