カテゴリから選ぶ

[ 2018年11月13日付 ]

 YAMAHAオーディオ技術の集大成! プリアンプ『 C-5000 』パワーアンプ『 M-5000 』登場! 〜フラッグシップ「5000シリーズ」にセパレートアンプを追加 〜
ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
ヤマハが "真に豊かな音楽体験と深い感動の実現" をテーマに開発したフラッグシップ「5000シリーズ」に、プリアンプ『 C-5000 』と、パワーアンプ『 M-5000 』が登場します。 ヤマハ東京事業所の試聴室での試聴を踏まえ、レポートしてまいります。


■ 総合音楽メーカー ヤマハ

ヤマハは本来、楽器製造メーカーであり、今ではコンサートホールの設計を行うなど、様々な分野で音と音楽に深く関わっています。筆者の記憶では同社が初めてオーディオコンポーネントを発売したのは1970年代初頭で、プリメインアンプ「CA-700」や、耳たぶ形のNS型ウーファーを搭載した後面開放の大型フロア型スピーカーだったと記憶しています。しかし正直それらには食指が動きませんでした。


CA-1000

筆者が本格的にオーディオに取り組み始めた学生時代(1973年頃)、まず最初に購入したのが、実はヤマハのプリメインアンプ「CA-1000」でした。それは同社が本格的にオーディオに参入した記念碑的な製品で、当時まだオーディオ知識の乏しかった筆者の選択理由は、ズバリそのデザインに惚れ込んだからでした。使い始めて、そのA級動作(パワー段のA級/B級の切換可)での音質の素晴らしさや機能の豊富さがわかったというのが正直な所です。

余談ですが、筆者が「CA-1000」を購入したのが、実は、上新電機の日本橋南店(当時オーディオ専門店)でした。今となっては何か縁を感じてしまいます。

さらに、その数年後アンプをグレードアップすべく購入したのが、同じくヤマハのハイエンド・プリアンプ「C-1」に次ぐ第2弾で、大ヒットし一世を風靡した薄型プリアンプ「C-2」でした(その後C-2a、C-2Xと続きました)。「C-2」に決めたのは、音質の良さでの判断はもちろんでしたが、こちらも黒のシンプルで精悍なデザインに惚れ込んでのチョイスでした。

さらに余談ですが、筆者はまずはデザインから入り、結局の所、両機が奏でる当時"ヤマハビューティ"と呼ばれたナチュラルで爽やかなサウンドに惚れ込んだのでした。

さて、話を戻します。そんな総合音楽メーカーのヤマハが、"真に豊かな音楽体験と深い感動の実現" をテーマに開発したフラッグシップが"5000シリーズ"『 C-5000 』『 M-5000 』です。筆者は10月某日、ヤマハ東京事業所の試聴室で両機の開発意図の説明を受け、「NS-5000」を使用して試聴してまいりました。以下はそのレポートです。


■ プリアンプ『 C-5000 』

まずは注目のデザインですが、2色あるフロントパネルの内、シルバーの『 C-5000 』は、前述の「CA-1000」を彷彿とさせ思わず触れてみたくなる、オーディオ心を大いにくすぐる、繊細かつ優美なデザインです。一方のブラックは、上半分に「C-2」の雰囲気を残しつつ、重量感かつ存在感のあるデザインに仕上がっています。


まず説明を受けたのは、【ブックマッチ・コンストラクション】で、写真ではリアパネルの端子群を鏡に映したのかと錯覚しそうですが、これは左右の端子を上下完全に対称としているためです。さらに内部のオーディオ回路や、各ステージへの給電部を組んだ左右各1枚の基板を、背中合わせに重ねて配置。これをブックマッチ・コンストラクションというのだそうです。

基板は左右対称に組み上げ、プリントパターンが向き合うように二つ折りにすることで、信号の流れが同一方向になるとともに、信号や電源経路の最短化を図り、チャンネル間の音質差や相互干渉を限りなくゼロにできたと言います。この画期的なアイデアこそ、ヤマハの本機に掛ける心意気、本気度を感じます。

これはまるで本を閉じるような構造である事から名付けられたのですが、バイオリンやギターなど、楽器の構造からもヒントを得て生み出した機構だということです。ここがヤマハならではの目の付け所です。

その経路の左右独立化、左右等長化は電源回路にも及び、特性を揃えた【銅メッキケース封入大容量トロイダル電源トランス】を左右独立で搭載。トランスの間に上下二層(上段:Lch、下段:Rch)の整流回路を置くことで、理想的な最短・等長の給電を行っています。さらに給電ラインには3.5スケの太径ワイヤーと、通常使われるハンダ付けではなく、真鍮製ネジによるネジ止め仕様とすることで電源系のローインピーダンス化を図るという徹底ぶりです。

そして【全段バランス増幅】、ここにも徹底ぶりが伺えます。3系統あるバランス入力の内1系統はフォノ入力用でこれを使用し、MCヘッドアンプやフォノイコライザーまでバランス増幅化することで、フォノ入力からプリ出力まで、さらにはパワーアンプ『 M-5000 』とバランス接続すれば、スピーカー出力までの完全なバランス伝送が完成するのです。

さらにフォノイコライザー、入力アンプ、出力バッファーアンプにもプリアンプ回路としては初めて、同社の提唱する【フローティング&バランス方式】(※)を採用しており、グラウンドに起因するノイズの影響を回避し、純度の高い増幅を実現できたのです。
(※ヤマハの特許技術:全回路をグラウンドから完全に独立させることで、微細な電圧変動や外来ノイズの影響を徹底的に排除。フルバランス伝送との組合せにより完璧な増幅精度が実現します。)

フロントパネルはゴージャスな9mm厚のアルミ無垢、ピアノフィニッシュのサイドウッドを組み合わせています。ポインター(指標)を一体化した、手に馴染む高級感抜群のアルミ削り出しボリュームノブ。レバースイッチは「CA-1000」のスイッチと似てはいますが、「入社2年目の若手技術者が考案した」という操作フィーリングにもこだわった新規構造を導入したものだとのことです。

このように『 C-5000 』は、フラッグシップに相応しい風格と操作感を実現したプリアンプです。


■ パワーアンプ『 M-5000 』

ブラックパネルのデザインは往年の「B-2」をイメージさせるもので、クリスタルガラスをはめた、いかにも精度の高そうなメーターを中央に配した外観デザインは、シルバー、ブラックともに力強く存在感を感じさせる、こちらもゴージャスなものです。

出力段の左右チャンネル/+側−側の計4組の電力増幅回路をグラウンドに対して電気的にフローティングし、プッシュプル動作の完全対称化を実現した【フローティング&バランス方式】を採用し、全回路をグラウンドから完全に分離。電圧変動や外来ノイズの影響を排除できたのです。出力段にはパラレルMOS-FETを装備して、スピーカー駆動力を向上させたとしています。


中央に電源部を、左右にパワーアンプブロックを配置して、音声信号経路と給電経路の両方を最短化しています。シャーシ中央には1200VAもの大容量のトロイダルトランスと大型ケミコンを配置。それら振動を伴う大型重量パーツの質量を機構的に接地させる【メカニカルグラウンド・コンセプト】に基づいて、シャーシ構造と各パーツの固定方法を徹底的に検討したのだそうです。


そして本機(C-5000にも)に採用された新構造のレッグにも注目です。ピンポイント支持とプロテクトを両立した真鍮削り出しの脚を装備。これは「Wind Bell(ウインドベル)」でお馴染みの特許機器との共同開発で、現在特許申請中とのことです。これによりサウンド全体が安定し、実在感ある空間表現力と豊かな低音が実現できたとしています。

定格出力100W×2ch(8Ω)、200W×2ch(4Ω)のパワーアンプ。ブリッジ接続にも対応しており、モノラルで400W(8Ω)をひねり出します。入力は、RCA、XLRバランス各1系統です。

『 M-5000 』は、ヤマハが持つ特許技術やノウハウを惜しみなく投入し、完成したフラッグシップの名に恥じない完成度を実現しています。


さて、『 C-5000 』→『 M-5000 』→「NS-5000」での音質は・・・ クラシック音楽では、まずその静けさに驚きました。ホールの隅々まで見通せる様な澄み切った空気感は、試聴室が立派(抜群のS/N)な所為もあるのですが、過去に経験のないレベルでした。

ジャズサウンドでは、録音スタジオに飛び込んだ様な生々しさ、突き抜ける様な伸びやかさに感動させられました。ミュージシャンの立ち位置が正確に表現され、グルーブ感もひしひしと伝わって来たのです。

そしてボーカルに至っては、中央にすくっと立ち感情豊かに歌う様が目に見えるようでした。女声ボーカルは優しく滑らかに、男声ボーカルは厚みのある豊かな声が響きました。

そして最後に、来春(2019年)発売予定の"5000シリーズ"のアナログプレーヤー『GT-5000』をソース源として、カートリッジ(原理的にバランス)からの完全バランス伝送によるサウンドには強い衝撃を受けました。そのリアル感、吹っ切れ感、そして空気感に感動以上の、ある意味恐ろしささえ覚えました。



■ 最後に
"5000シリーズ"こそ、音楽を知り尽くしたヤマハのオーディオ技術の集大成と言えるコンポーネンツです。アキュフェーズ、ラックスマン、エソテリックに続く、本格的国産セパレートアンプの登場です。(あさやん)

※『GT-5000』については予約開始後このコーナーで取り上げる予定です。



ヤマハ セパレートアンプ『 C-5000 』『 M-5000 』