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[ 2019年 2月 5日付 ]

 TELOSアクティブアース『 Grounding Noise Reducer 3.1(GNR3.1) 』を徹底的に試す!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
TELOS(テロス)の「アクティブアース発生器」をご存知でしょうか。初めてその名前を聞いたとおっしゃる方のために、製品開発の経緯からお話しいたしましょう。


■ TELOS(テロス)とは
正式名:Telos Audio Designは、2006年に台北にて設立されました。それ以前、ディストリビューターとして各国のオーディオ機器を取り扱っていたJeff Lin氏は「機器の性能は良くても、設置する環境によって十分に実力を発揮できないという《オーディオの宿命》」を、何とかして打ち崩せないかと考え同社を立ち上げたといいます。

設置するシステムによって機器の音が変わる…その原因はシステムのアース状況によって引き起こされるものだ…と、Jeff Lin氏は突き止めたのです。

一般的なアースの考え方は、感電の危険防止などの安全性が主目的で、そのためアース設備は、「中性線(ニュートラル線)とアース線を一緒に接続しているか」、コンセントなどにアースがないため「アース線は何処にも接続されていないか」です。これではオーディオ以外の家庭の電気機器からのノイズが「中性線」を汚染し、オーディオ機器に干渉してしまいます。

特に、近年多いインバーターエアコンやパソコンなどに使われているスイッチング電源は、盛大なノイズを家庭内にバラまいており、これではオーディオ機器にとってはたまったものではありません。このノイズを取るのが大地アースなのですが、オーディオシステム単独のアースは、集合住宅は勿論のこと、一戸建ての住宅にお住まいの方でも、オーディオ用途の要求を満たすアース設備を手に入れるのは、殆ど不可能に近い状況です。

また、何故アースが必要かと言いますと、一般的にオーディオ機器の増幅回路は、基準電圧「0V(ゼロボルト)」を前提に設計されているのですが、機器に電源を接続するだけで、すでに機器自体がそれぞれ違う「数V」程度のシャーシ電位を持ってしまいます。そしてこれらの機器をラインケーブル等で接続してしまうと、平均化されたある電位となり、機器が要求する基準電位とは違う電位で動作してしまうことになるのです。

この状況を解決する手段として数社から発売されているのが、ご存知の「パッシブタイプの仮想アース」です。これらは銅板や鉱物粉を使用しており、オーディオ機器のアース電位の変化(電圧変動)を軽減し音質の変化は確認されるものの、決して「0V」にはなりませんでした。

さらに、仮想アースにノイズを流れ込ませるためには、十分に基準電位が低く、インピーダンスが極めて低くなければなりません。しかし現状、パッシブタイプの筐体サイズ程度では、電圧変動を安定化するのは到底不可能なのだそうです。

そこで今回ご紹介します「アクティブタイプの仮想アース」TELOS アクティブアース『 GNR3.1 』の登場と相成るのです。

■ 他の家電製品より発生するノイズから完全に隔絶
TELOSのアクティブアースは、お使いのオーディオシステムがアースの基準値「0V」となる高精度な電圧を、CPUを使って計算して生成しているのです。これにより、接続したオーディオ機器の電圧変動に極短時間で対応でき、それぞれの機器に一貫した基準信号を与えます。この基準信号の伝送は、極めて低いインピーダンスで行われ、これによりオーディオシステム単独の大地アースと同じ効果が得られるのだとしています。この結果、他の家電製品より発生するノイズからも完全に隔絶できるのです。

『 GNR3.1 』は、2つの電源ノイズ低減器「QNR3.1」と、1つのアース発生器「GNR Mini 3.1」によって構成されています。このQNRユニットは元々、ケーブルエージング機器「QBT」のために製作されたもので、日本のACOUSTIC REVIVE(アコリバ)や、TIGLON(ティグロン※)製ケーブルの出荷前に行うバーン・イン(エージング)に使用されています。
※ティグロンでは超飽和電流型ケーブル活性装置「HES」と呼んでいます。

ケーブルのエージングのための正確な基準信号を生成するためには、電源ノイズの低減が必要不可欠だそうで、これはアースの基準電位の生成においても同様で、これにより『 GNR3.1 』が外来の電源ノイズに関わらず、正しいアースの基準となる信号を、接続された機器に供給できるのだとしています。

『 GNR3.1 』の背面にある6つのアース出力端子での電位は十分に低く、インピーダンスも極めて低いため、端子に流入してきた外来ノイズは、内部の「QNR」によって取り除かれるのです。また、各端子はそれぞれアイソレーションされているため、ノイズが相互に干渉することはありません。

『 GNR3.1 』と2017年発売の初代「GNR」との違いは、使用パーツの選別を従来以上に厳密に行い、従来機の選別基準の16倍、すなわち1万個以上の購入パーツの中から、3.1の基準をクリアするのは数百個程度しかないと言います。

本機の背面端子は、左側に3個、右側に3個あり、片側3個をアナログ機器に、もう一方をデジタル機器に、付属のアースケーブルを使用して接続するように推奨されています。しかし所有されている機器が多い場合は、本機を2台、それぞれをアナログとデジタル専用にすることも(勿論ご予算が許せばですが)提案されています。

付属のアースケーブルは、Yラグ ⇒ Yラグが3本、Yラグ ⇒ RCAプラグが3本ですが、別売オプションとしてXLR、BNC、USBが、長さも1.5m、2.0m、2.5m、3.0m(いずれも特注品)が用意されており万全です。

ここまでの説明でも、その効果は実際に体験いただかないとにわかには信じられないと思います。かく言う、私自身がかつてそうでした。音楽信号の流れない、出ても入っても来ないアースケーブルを繋ぐだけで音が変わるなど、全く説明が付かないのですから…。

それでは自宅でのアクティブアース『 GNR3.1 』の効果の程をレポートしてまいります。

■ 実際に検証してみました

右写真の正面から見て左側にデジタル機器(DACプリ、CDプレーヤー)、右側にアナログ機器(パワーアンプ、アナログプレーヤー)のアースケーブルを接続。『 GNR3.1 』の電源ケーブルは、電源タップを繋いでいる2連の壁コンセントの空いた側に接続しました。

この電源プラグを抜き差ししても、全くノイズは出ませんでした。そして、その際の効果は以下のように劇的なものでした。もちろん、機器単独でのアースの抜き差しも試しています。

上記の接続にてCDプレーヤーでMQA-CDを再生しました。以下は私が感じたままの試聴メモです。

  • サウンド全体のヌケが非常に良くなりました。
  • ノイズ感がなく静かになり、空間感、音場感が出てきました。
  • 奥行き感が抜群で、前後感、立体感も確実にアップしました。
  • 超低域方向への沈み込み、厚み感が半端ではありませんでした。
  • 全体に重心が下がり、豊かでふくよかさが出てきました。
  • 中域が厚くなり、ボーカルの肉質感、生々しさが出てきました。
  • 高域は開放感があり、どこまでも透明で滑らかに伸びきりました。
  • ボーカルがコリッとして中央に浮かび上がり、定位がしっかりしました。
  • ベースの形が眼前に現れ、圧倒的な力強さで迫りました。
  • 各種パーカッションが気持ち悪いくらいリアルでした。

これらの効果は、CD以外のパソコンを使ってのファイル再生でも、アナログ再生でもほぼ共通でした。また、各機器のアースケーブルの着脱も試してみました。それぞれで効果は確認されましたが、やはり上記のように全てにアースケーブルを繋いだ場合に最高の結果が得られました。

■ 結論として
この『 GNR3.1 』のアグレッシブでホットな《 説得力 》は、オーディオシステムのどのコンポーネントを入れ替えても実現不可能なレベルの変化だと思います。アーティストや楽器の実在感、サウンド全体の音楽性の表現力は、コンポーネントのグレードアップとは《 別次元 》の改善度合いだと感じました。

ただ、ノイズ環境に恵まれたユーザーは、既発売の『 GNR Mini 3.1 』(以前に自宅で試聴済み)でも十分効果を享受できるのではないかとも思いました。
(あさやん)



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