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[ 2019年 2月 12日付 ]

 ますます面白くなる『 PC&ハイレゾオーディオ 』に新たな「うねり」が!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
ますます面白くなる『 PC&ハイレゾオーディオ 』に、いま新たな「うねり」が始まりました。今回は、過去の反省を踏まえ、今後のオーディオの流れを私なりに読み解いてまいります。


■ 新たな「うねり」とは?
2008年頃に注目され始めた『 PC&ハイレゾオーディオ 』。私がこのコラムを担当し始めたのが2013年で、これまで何度も当時の状況やその後について私見を述べて来ました。

その中には、「USB-DACが雨後の竹の子のごとく登場」(2013)、「USB-DAC台頭、最後のディスクプレーヤーか?」(2013)、「ハイレゾの数字競争に警鐘」(2014)、「PCオーディオに再チャレンジ」(2017)、「OPPOが大ヒット!PCオーディオに再注目」(2018)と、続きました。

その間、オーディオメーカー製USB-DACの音質的優位性や、ディスクプレーヤーの終息宣言とも受け取れる内容を述べていますが、その後国内では一部のハイエンドメーカーを除いてデジタル関連機器の開発力が急速に落ち、新規にチャレンジするメーカーが減ってしまいました。

また、SACDには大きな動きはなかったものの、数年前に異常な盛り上がりを見せたアナログブームを経て、メインソースとしてのCDが再度見直され、そこにMQA-CDの話題が加わったことで、CDプレーヤーの買い替えが始まったのでした。

その後、ハイレゾの数字競争もPCM 384kHz、DSD 11.2MHzが上限でほぼ落ち着き、それ以上のスペックによる音質改善効果には疑問の声も上がりはじめ、オーバースペックによる弊害さえ囁かれはじめました。

また2017年には、PCオーディオの救世主として彗星のごとく登場したOPPO「Sonica DAC」が一次爆発的な売れ行きを示したものの、2018年の年初になっていきなり生産中止となってしまい、我々販売側としては梯子を外された格好で、同時に急速にPCオーディオ市場の熱も冷めてしまったのでした。

そして今年(2019年)、昨年末からハイエンドDACに「うねり」とも言える新たな動きが始まったのです。それはかつて、PCオーディオの黎明期に購入されたUSB-DACの買い替えによる最新鋭機へのグレードアップ。そして、CDソフトの魅力再発見から始まった、最新D/AコンバーターによるCDサウンドの見直し機運の高まりだと思います。さらには、話題のMQA-CDという新たなソースを一度聴いてみたいという新たな動機も見逃せません。

そこで今注目を集め、実際人気となっているミドルクラスからハイエンドグレードのD/Aコンバーターを8機種、その優位点、人気の秘密を探りながら取り上げてまいります。

■ 人気のD/Aコンバーター 8機種をピックアップ

■ Mytek Digital 『 Manhattan DAC II 』
 Silver/Black/Goldの3色

Mytekのコンシューマー用としては最上位のD/Aコンバーター。DACチップにはESSのフラッグシップDAC「ES9038PRO」を搭載。これに、フェムトクロックと独自のジッター低減回路を組み合わせて、DACチップの真価を引き出すとともに、デジ・アナを独立電源とすることでノイズとクロストークを徹底的に低減しています。

話題のMQAのフルデコーダー、アナログ式と32ビットデジタル式の内蔵アッテネーターやMM/MC対応のフォノ入力も装備。振動対策や電源ケーブルをグレードアップすることで、更に音質を追い込めます。さらに、オプションカード(高精度フォノ・アナログプリアンプカード、ネットワークカード)によるグレードアップも可能です。

サウンドはプロの世界で鍛え上げられたMytekならではの芯のしっかりした安定度の高いもので、電源の強化がダイナミックスや瞬発力をさらに高め、音楽的な説得力は超一流です。100万円を切るD/Aコンバーターの中ではダントツの完成度の高さです。




■ Mytek Digital 『 Brooklyn DAC+ 』
 Silver/Blackの2色

元々、スタジオでのリファレンスとしての音質を備えたUSB-DACとして開発されました。DACチップにはESS「ES9028PRO」を採用。超高精度のフェムトクロックを搭載。アナ/デジの2通りのアッテネータを装備、フォノ入力も持ち、DACプリとしても機能します。勿論MQAにもフル対応です。

サウンドは深く厚みのある低域、エネルギーに満ち溢れた中域、高域の圧倒的な情報量、厚みのある豊潤なサウンド、生音のような立ち上がりや響きを再現します。ハイエンドの王道を行く安定感のあるサウンドです。コストパフォーマンス抜群で大ヒット中です。




■ SOULNOTE 『 D-2 』
 Silver/Blackの2色

業界で初めてESS「ES9038PRO」を4個搭載し、それにSOULNOTEの得意技「完全対称無帰還ディスクリートアンプ」を組み合わせています。マスタークロックには超高精度のTI「LMX2594」を採用。これは測定器やレーダー用に開発されたジッター45fsという世界最高レベルのものです。

また、従来のオーバーサンプリングモードのデジタルフィルターに加え、デジタル領域における無帰還化とも言える「NOS」モードを採用。オーバーサンプリングのインパルス応答では避けられないプリエコーやポストエコーが発生しません。リアルで自然な音質、空気感をもたらします。画期的なデータ転送方法である「Bulk Pet」も採用。

サウンドはスケールの大きな安定感のあるもので、アナログを彷彿とさせる立体的で、生き生きとした、吹っ切れ感のあるものです。圧倒的な情報量の多さ、細部の表現力、力強く伸びきった低音は正確無比で、説得力のある国産屈指のハイエンドサウンドを実現。




■ SOULNOTE 『 D-1N 』
 Silver/Blackの2色

ESS「ES9038PRO」2基を「モノラルモード」で使用。「ES9038PRO」と「無帰還ディスクリートアンプ」のコンビネーションにより、オペアンプ(IC)では得ることができない、エネルギーに満ち溢れた生々しい音楽再生を実現。1ps以下という、超低ジッタークリスタルを採用。新たに上級機同様、「NOS」モード採用して、バージョンアップを果たしました。

サウンドは非常に透明度が高く鮮烈で抜けの良いものです。ストレートで立ち上がりが良く、音程はしっかりして、安定感があります。音楽を実に楽しく聴かせてくれます。ミドルクラスの国産D/Aコンバーターでは屈指の実力機です。




■ cocktail Audio 『 X45Pro 』
 Silver/Blackの2色

本機はデジタルオーディオの魅力を存分に手軽に味わえる超多機能な製品で、CDのリッピング、メタデータの管理、ファイル音源やネットワークでのストリーミング再生はもちろん、CDソフトの直接再生まで1台で行えます。もちろん、MQA-CDの再生も可能です。

13mmの極厚のフロントパネル、筐体は厚手のアルミプレートに精密な切削加工した総アルミ仕上げです。背面にはストレージ用のスロットを装備。アナログRCAとPHONO入力が1系統ずつ、出力はXLRとRCAが1系統ずつ装備。さらにFMチューナーまで内蔵。

サウンドは筐体の確かさやS/Nの良さから、制動力のあるしっかりしたスケール感のある低域に、厚みのある中域、ヌケの良いハリのある高域が加わり、情報量も圧倒的です。機能満載でこの音質を実現したことで、cocktail Audioの実力を再認識させられました。




■ cocktail Audio 『 X45 』
 Silver/Blackの2色

最先端のデジタルフォーマットに対応し、音質に磨きをかけたマルチメディアプレーヤー。デュアルDAC搭載、DSD 11.2MHzにも対応したミュージックサーバー。CDを簡単に様々なフォーマットでリッピングでき、もちろんCD再生も可能です。

本体背面には記録媒体用のスロットを装備。MQA-CDも再生可能な新時代のCDプレーヤーでもあります。




■ iFi-Audio 『 Pro iDSD 』


PCオーディオの最先端を走り続けて来たiFiオーディオ。その集大成ともいえる製品です。他の追随を許さないPCM 768kHz、DSD 24.6MHzの圧倒的なハイレゾ再生に対応。A級・真空管バッファ、フェムト秒精度のマスタークロック、すべての入力にガルバニック・アイソレーションが施されています。

同社初のネットワークプレーヤー機能まで搭載。MQAにも対応予定です。サウンドは鮮度が高くキレの良い鳴りっぷりの良さが魅力です。




■ M2TECH 『 Young III 』


海外製としては異例な程のリーズナブルなD/Aコンバーター(USB-DAC)+プリアンプ。DACチップはTI「PCM1795」で、PCM/DSD(11.2MHz)ともにネイティブで対応。電子ボリュームにはCirrus Logic「CS3318」を採用し、プリアンプとしても十分な実力を備えています。

サウンドは、実にハリのある若々しいもので、脚色を一切感じさせない生々しさが魅力。中低域には弾力感、高域には爽やか感があります。

■ 最後に
今回はいま注目を集め、実際に市場で人気のある製品ばかりをご紹介しました。いずれもスペック的には、PCオーディオ黎明期とは雲泥の差があり、サウンドにおいてもいわゆるデジタル臭さを全く感じさせない、ハイエンドオーディオ特にレコード再生ともほぼ遜色ないレベルにまで達しているのは間違いありません。

そしてお手持ちのCDライブラリーを生かすためにも、今こそ最新・高性能のUSB-DAC搭載D/Aコンバーターを導入されてみてはいかがでしょうか。

MQA-CDを含め『 PC&ハイレゾオーディオ 』が、ますます面白くなってきました。(あさやん)



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