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[ 2019年9月24日付 ]

 遂に発売日決定! YAMAHAレコードプレーヤー『 GT-5000 』予約受付開始!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
YAMAHAのフラッグシップである《5000シリーズ》のレコードプレーヤー『 GT-5000 』。 発売が遅れに遅れて、発表(2017年9月)から実に丸2年。遂に発売日が決定し、予約の受け付けが始まりました。それでは『 GT-5000 』を詳しく見てまいりましょう。

■  "GT" を冠するプレーヤー

YAMAHAの "GT" を冠したプレーヤーは、1982年発売の「GT-2000」を皮切りに、83年の「GT-1000」、85年「GT-750」と限定生産の「GT-2000X」と続きました。 因みに1982年はCDの登場年でもあり、当時はオーディオが最高に盛り上がった時代でした。

この "GT" シリーズは、マニア心を大いにくすぐる曖昧さのないリジッドな作り、大型ターンテーブル、本格的トーンアームなど信頼性の高いプレーヤーで、いずれも大ヒットしました。 しかしCDが本格的に普及していく中で、1991年の限定生産品を最後に次第に店頭から姿を消していったのでした。

そして近年のアナログブームに呼応する形で、《5000シリーズ》に相応しい内容のプレーヤーの開発が始まったのです。 しかしそこには予想以上に多くの困難を克服する必要があり、結局当初の発売予定から2年近くもかかってしまったのでした。 それ程に構成部品の調達には困難を極め、本機のための新たな設計箇所が大幅に増えてしまったようです。


■ 『 GT-5000 』のデザイン・仕様

『 GT-5000 』の外観は、往時の「GT-2000」を彷彿とさせる、懐かしさと信頼性が同居した実に完成度の高いデザインです。 サイズは「GT-2000」などとほぼ同じで、546W×223H×411Dmmで最近のプレーヤーとしては超大型です。 寸法は勿論、重さ・素材(パーティクルボード)とも「GT-2000」とほぼ同じなのは、その寸法や重量配分、素材が音質的に最善であるとの考え方から、少しも変える必要がなかったからだとしています。

『 GT-5000 』が踏襲した《GT思想》は、音の本質をオーソドックスかつシンプルに、基本に忠実に追求する「GT-2000」で初めて提唱したYAMAHA伝統の設計コンセプトです。 Gigantic&Tremendous(=途方もなく巨大な)の言葉が示す通り、音質的に必要な部分の巨大重量化と不必要な部分の大胆な省略を設計の基本に置いています。

「GT-2000」などのモデルが、いずれも当時主流だったダイレクトドライブ(DD)でしたが、本機では近年高級機や海外製品では常識でもある、滑らかな回転を狙ったベルトドライブを採用しています。 モーターにはサーボを持たない24極2相ACシンクロナスモーターを搭載し、交流電源にはクォーツで生成された正確な正弦波を用いています。

ダイレクトドライブはスペックこそ優れていますが、ターンテーブル直下にモーターを置くため、どうしても振動を拾いやすく、正確な回転のためにはサーボ回路が不可欠なことから、コギング現象(僅かな回転ムラ)はどうしても避けられません。 一方、ベルトドライブではモーターの回転をベルトを介して伝えるため、振動を吸収でき、コギングのない滑らかな回転が得られ、またサーボ電流による音質への影響も回避できます。

ターンテーブルは過去の製品と違い、ベルトドライブのため二重構造をとっており、ベルトを掛けるインナーターンテーブルは直径:143mmの真鍮製で2.0kg、メインのターンテーブルは直径:350mmアルミ製で5.2kgあります。 異種金属の組み合わせで固有振動を回避しているようです。外縁部を肉厚にした結果、慣性モーメントは実に0.92t・cm²にも達しています。また、ターンテーブルシートはフェルトとシリコンゴムの2種類が付属しています。

そして『 GT-5000 』のコンセプトで、私が最も注目したのは以下の2点です。


■ 注目点その1:シンプル&ストレートを極めた《ピュアストレート・トーンアーム》

かつてオーディオ評論家の故 江川三郎氏が考案し、2016年FIDELIXが「0 SideForce」として蘇らせた、独自設計の「ピュアストレート・トーンアーム」を搭載しています。

オフセット角を持たさずカートリッジから支点まで一直線に配置されています。 これはオフセット角によるトラッキングエラーの発生より、超ショートアームにすることでの優れた重量的・力学的バランスにより、インサイドフォースキャンセラーのないシンプルな構造にしたことのメリットの方を重視した結果といいます。 ヘッドシェルは交換可能で汎用性が高まっています。

アームパイプはテーパーがかかった銅メッキアルミの表面を、銀メッキカーボンファイバーで覆った2重構造で、高剛性・低共振とノイズシールド効果を両立させています。 微小信号を扱う内部配線には、定評のあるPC-Triple Cを使うことで情報量の多さを狙っています。


■ 注目点その2:特許機器「Wind Bell」社との共同開発《三次元バネ構造のインシュレーター》

Joshin webショップでも大好評のWind Bellの「スプリングコイル+特殊制振材+3次元特殊支持構造」によるフローティング方式のインシュレーターを採用しています。 これにより低音域の有害振動はカットして、高音域の有益な振動をより効果的に活かすという、オーディオ機器、特にプレーヤーにとっての理想的なインシュレーターです。

また搭載質量には関係なく、低い水平方向の共振周波数(7Hz以下)を持ち、一定に保つことが可能だとしています。 これにより、プレーヤーのモーターが水平方向の加振源となる振動によって、置き台や床面の振動が引き起こされることがなければ混変調歪が発生せず、有害振動の防止と音質向上に効果的だとしています。

その他の主な特長は、後部の音声出力端子に、通常のRCA音声端子に加えてフォノカートリッジ出力をバランス音声のまま取り出せるXLRバランス出力端子を装備しています。 これにより同社のプリアンプ「C-5000」、パワーアンプ「M-5000」と組み合わせることで、カートリッジ ⇒ スピーカー出力間の完全バランス伝送が可能となります。

また、後部の専用端子に接続して使用するストロボライトとストロボスコープが付属しています。 大径ターンテーブルに食い込む形で配置された円柱状の突起は、ディスクに針を下ろす際に掌がプラッター外周に触れることを防ぐフィンガーレストで、ここには±1.5%の範囲で回転数を微調整できるピッチコントロールノブもビルトインされています。

そしてキャビネットは、YAMAHA伝統の樺天然木黒色塗装仕上げを採用したブラック(B)と、YAMAHAならではのグランドピアノと同等の黒鏡面ピアノフィニッシュを採用したピアノブラック(BP)が用意されています。


■ 完全バランス伝送で試聴しました

音質は『 GT-5000 』→「C-5000」→「M-5000」→「NS-5000」の完全バランス伝送で確認しました。



クラシックではその圧倒的なリアル感、吹っ切れ感、そしてS/Nの良さから来るクリアネスと情報量の多さ、質感の豊かさに感動しました。 ホールの隅々まで見通せる様な澄み切った空気感は、デジタル・アナログを問わず過去に経験のないレベルのものでした。

ジャズサウンドでは、録音スタジオに飛び込んだ様な生々しさ、ストレートに突き抜ける伸びやかさに感動しました。ミュージシャンの立ち位置が正確に表現され、グルーブ感もひしひしと伝わって来たのです。非常にフレッシュで音の立ち上がりがリアルでした。

そしてボーカルに至っては、中央にすっくと立ち、感情豊かに歌う様が目に見えるようでした。女声ボーカルは優しく滑らかに、男声ボーカルは厚みのある豊かな声が響きました。そのリアル感、吹っ切れ感、そして空気感に感動以上の、ある種恐ろしささえ感じました。

これは過去のアナログとは異質、ある意味、最上のデジタルを超越した《超アナログ》の世界です。回顧趣味とは別次元の《超アナログ》を『 GT-5000 』で実現できます。

(あさやん)




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