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[ 2019年 11月 26日付 ]

 アナログをもっと極める!! アナログブームの再々燃なるか?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
Phasemationから、フォノアンプ『 EA-550 』と、MC昇圧トランス『 T-1000 』が登場!! 果たして、アナログブームの再々燃なるか?



■ アナログの世界
Phasemation(以下:フェーズメーション)からアナログディスク愛好家向けに、同社ならではのオリジナリティ溢れるアナログ関連アイテムが2機種登場。アナログをとことん追求したいアナログマニアにこそお勧めです。

嵐のように去っていったアナログブームですが、今から思えば、あの数年前のアナログブームは何だったのでしょうか。

確かに、Joshin webショップでも、1万円前後から2〜3万円台のプレーヤーを中心に爆発的な売れ行きでした。

でもそれは、マスコミやネットでの口コミが盛り上げたもので、とりあえずアナログレコードを一度聴いてみたい若者や、かつて聴いたレコードをもう一度聴いてみたいという中高年のニーズがほとんどだったのではないでしょうか。

ただほんの一握りではありますが、アナログの「デジタルにない魅力」を体感され、アナログに惚れ込んだ新たなアナログファンもいらっしゃるのも確かです。

そして、本物のアナログ愛好家だけが残って、静かになったというのが現状だと思います。

ここに来て、周囲の情報に惑わされることなく、ご自分の好きな音楽を心ゆくまでアナログで聴くという、本来の姿に戻ったことは喜ばしい限りです。

今回はそんなアナログを心から愛し、デジタルでは得られない、血の通ったホットで聴き飽きないアナログレコードの世界を、もっともっと極めたいとおっしゃるファンのために開発された、フェーズメーションの2つの画期的アナログ製品をご紹介します。

■ 2機種共通の特徴
まずは、『 EA-550 』『 T-1000 』両機に搭載されている、MCカートリッジ入力の《 バランス受け 》についての説明です。

【 バランス伝送対応の入力部 】〜外来ノイズの影響を受けずS/Nが大きく向上〜

MCカートリッジのコイルによる発電は、本来バランス動作しています。ほとんどのアンプのフォノ入力のようなアンバランス接続では、バランス型のメリットは勿論、外来ノイズの影響で音質を大きく損なってしまっています。


バランス型のフォノケーブルを使うことで、微小信号のMCカートリッジのコイル部から昇圧トランスのコイル部までが、プッシュプルの平衡型で伝送され、それをシールドが包み込む形になることで、外来ノイズの影響を回避できるのです。

また、トランスの入力部の中点と出力部のマイナス側を繋ぐことで、カートリッジ側から見ると、完全なバランス接続(2番ホット)になるのです。



一般的なMC昇圧トランスとアンバランス型のフォノケーブルでの接続では、外部シールドと信号線となるため、どうしても外来ノイズに曝されてしまいます。信号線にノイズが混入し、少なからず音質的な影響を受けてしまいます。

そして、『 EA-550 』『 T-1000 』両機に搭載されている《 MCトランス 》も、フェーズメーションが新規に開発したものです。

【 MCトランス 】〜細かな空間表現と明確な音像定位を実現〜

巻線構造には、従来ハンドメイドでなければ難しいとされていた、特殊分割巻線構造を採用。広帯域で優れた位相特性と、可聴帯域内の位相歪をも激減させ、明確な音像定位を実現したのです。

さらに、2次巻線には人気の高純度銅線PC-Triple Cを使用。大型EIコアと相まって、広帯域で優れた周波数特性も実現したのです。

まさに、低域の優れたリニアリティと高効率・低損失の昇圧という、理想のMCトランスとなったのです。

■ フォノアンプ『 EA-550 』

フェーズメーションは言います「アナログもまだまだ極め尽くされていない。」と・・・。

同社のフォノアンプ(フォノイコライザー)は、「EA-1000」「EA-500」「EA-350」「EA-300」「EA-200」といずれも無帰還回路で構成され、管球式の「EA-1000」を除き半導体式で、今回の『 EA-550 』は半導体フォノアンプの集大成を目指して開発されたものです。

2筐体のセパレート型は「E-500」を踏襲。内蔵MCトランスの2次巻線PC-Triple Cを使用した新設計で、合わせて回路もブラッシュアップして、新次元の音を実現できたとしています。では、そのあたりを詳しく見てまいりましょう。

【 L/R独立のモノラル2筐体 】〜臨場感と豊かなサウンドステージを実現〜

2筐体こそ前作「EA-500」を引き継いでいますが、前面パネルは「EA-500」ののっぺらした顔ではなく、同社ハイエンド機の上部をスラントさせた高級感のあるデザインを踏襲しています。

内部のベースシャーシは1.6mm厚の銅メッキした綱板、筐体にも1.6mmの銅メッキ綱板を採用。剛性の確保は勿論、磁気歪の低減にも貢献しています。さらに、脚部にも外部振動を遮断すべく重量級の金属インシュレーターを採用しています。

【 オールディスクリート無帰還増幅回路 】〜躍動感と音楽性を実現〜

アンプの主流となっている負帰還アンプは、ローコストで高精度の増幅は可能ですが、一方でどうしても入力信号と出力信号の間に時間遅れが発生してしまい、TIM(過渡変調)歪等をさせてしまうため音質的にはどうしても不満が出てきてしまいます。

一方、フェーズメーションは半導体・真空管に関わらず、全てのアンプ回路を無帰還で構成しています。ただ、負帰還アンプのように補正されないため、同社は構成部品や回路に高い精度と技術を投入することで解決したのです。

【 充実機能 】〜徹底的にレコード再生を楽しむ〜
  1. MM/MCが切り換え可能な3系統の入力装備。入力1、2はバランス対応。
  2. レコードの反り対策のため、CR2段の無帰還型のローカット・フィルター搭載。
  3. 3種類のイコライザーカーブ(ステレオRIAA/モノラル専用2種類)を装備。
  4. デノン・オルトフォンなどの鉄心入りMCカートリッジ用の消磁回路を搭載。

【 高音質部品 】〜並々ならぬ部品への拘り〜
  1. RIAA回路の素子には、1%グレードの金属皮膜抵抗とシルバーマイカ板を使ったマイカコンデンサーを使用。
  2. 信号回路には、エルナーのシルミック・電解コンデンサーや1%グレードの金属皮膜抵抗を使用。
  3. 電源トランスには、Rコアを用いた漏れ磁束の少ないトランスを「+」電源と「−」電源に各々専用に計4ケ使用。
  4. 電源回路のダイオード、コンデンサーにはいずれも高音質、ローノイズ部品を採用。
このように、アナログを知り尽くしたフェーズメーションが「半導体フォノアンプの集大成」を目指したというだけあって、プリアンプ内蔵のフォノイコライザーとは次元の違う内容のフォノアンプが完成したのです。

■ MC昇圧トランス『 T-1000 』

本機はフェーズメーションの最高峰MCトランス「T-2000」で採用されたモノラル筐体を採用。左右の干渉がなくなることで、情報量の豊かな高音質を目指して開発されました。

前述のように【 バランス伝送対応の入力部 】と【 MCトランス 】については、フォノアンプ『 EA-550 』と同じ構成です。

【 L/R独立のモノラル2筐体 】

前面パネルは10mm厚で上部をスラントさせ、シャーシは1.2mm厚の銅メッキ綱板、1.6mmの銅メッキ綱板カバーを採用することで、強靱な筐体を実現しています。

また、トランス付近に磁気シールドを配置することで、外部からの誘導ハムや磁気歪を低減しています。

さらに、トランス自体もハイダンピングラバー材で本体からフローティングして、外部振動の伝播を防止しています。

【高音質部品】

入出力端子は定評のあるFURUTECH製のロジウムメッキ端子、脚部にも外部振動を遮断する重量級金属インシュレーターを採用して、更なる解像度の向上を目指しています。

■ 最後に
フォノアンプ『 EA-550 』は、本格的昇圧トランス内蔵のフォノイコライザー。しかも、モノラル2筐体という、他に類を見ない構成であり、本格的にアナログを極めたい方には打ってつけの理想のレコード再生が楽しめるでしょう。

『 EA-550 』と『 T-1000 』の昇圧トランスは全く同じであり、すでに良質なフォノイコライザーをお持ちの方やMCヘッドアンプをお使いの方は、『 T-1000 』をお使いになることで、バランス伝送やトランスのメリットに加え、モノラル筐体という特に微小信号を扱うMCカートリッジにとっては理想の伝送環境が実現します。

フォノ入力をモノラル筐体で受けることのメリットは、実際に体験していただかないと、なかなか理解していただけないかも知れませんが、モノラル録音のレコードでさえ立体的なサウンドが実現し、特に奥行き感が出てくるのは感動ものです。

アナログをもっと極めることで、本物のアナログブームが長く続けば、オーディオの楽しさがさらに広がることでしょう。
(あさやん)


今回ご紹介した『 EA-550 』『 T-1000 』はこちら