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[ 2019年 12月 3日付 ]

 究極のデジタル再生ソリューションを目指した、ソウルノート SACD/CDプレーヤー『 S-3 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、究極のデジタル再生システムとして、ソウルノートが同社の技術の粋を結集して遂に完成した、SACD/CDプレーヤー『 S-3 』を取り上げます。



■ 高級オーディオブランド「SOULNOTE」とは?
SOULNOTE(以下:ソウルノート)は、2006年に高級オーディオブランドとして、株式会社CSRが立ち上げたブランドです。

ソウルノートとは「魂を震わす音」を意味し、「そんな音を表現したい…」「そんな音を刻みたい…」「そんな音を受け止めたい…」という志のもとに設立された経緯から、その創り出すサウンドは、他の国内メーカーの製品とは一線を画する、オリジナリティにあふれたものです。

「静特性」よりも「動特性」にこだわり、従来の常識にとらわれない独自の設計手法で、音源に込められた情報の全てを引き出したのだとしています。そのサウンドのスピード感や雑味の無さに共感するファンが非常に多いのです。

設立10周年にあたる2016年、記念モデルとしてプリメインアンプの「A-1」とCDプレーヤーの「C-1」を発売。その後、アンプは同年に「A-0」、2017年に「A-2」、D/Aコンバーターは2017年に「D-1」、2018年には「D-2」「D-1N」と、上位クラスに新製品を投入してきています。しかし、CDプレーヤーは需要減速もあり、「C-1」に続く上位モデルは発売されませんでした。

その沈黙を破って発表されたのが、今回取り上げる、SACD/CDプレーヤー『 S-3 』です。そのコンセプトは驚くなかれ「究極のデジタル再生ソリューション」です。それは、一体型のCD(SACD)プレーヤーこそが、ドライブメカからDACまで最短配線が可能で、しかも内蔵の高品質クロックに直近で同期でき、さらにファイル再生における様々な問題も回避できるというのです。

また、SACD/CDドライブメカを内蔵することによる、メカの振動や電源ノイズなどのデメリットを完全に回避し、同社が最重要としているクロックの同期に特化した「究極のデジタル再生システム」が完成したのです。

それでは、その手法を順に見てまいりましょう。

■ ソウルノートが『 S-3 』に投入した、数々の技術
◆ 無帰還回路「Type-R Circuit」

ソウルノートの無帰還アンプの歴史は古く、その原型は約20年前のマランツプロ(ソウルノートの前身)の「PA-02」にまで遡るそうです。そのサウンドは当時の私(河口無線時代)には非常に鮮烈なサウンドで、コアなユーザーを中心に大ヒットしました。

その無帰還アンプを現在の部品でフルチューンしたのが同社の「A-2」で、「D-2」「E-2」もほぼ同じ上下対称の電圧増幅(ラインアンプ)回路を採用しています。

それを『 S-3 』では20年ぶりに見直し、上下対称を止めることで限界まで部品数を減らしたのが「Type-R Circuit」とのことです。本来、トランジスタアンプは部品を減らして基本性能を維持するのは難しいとされていますが、本機では回路規模をほぼ1/3に出来たといいます。

その回路は高周波用のバイポーラトランジスタ 4個と抵抗 8本のみで構成した完全バランス伝送増幅回路で、初段は通常ハイゲインが基本ですが、音質優先でゲインのない差動合成とし、2段目は対アース増幅のシングルエンド(シングルエンド2つによるバランス)としています。

そして、出力トランジスタとバイアス回路のトランジスタを物理的にくっつけて、温度を同じにすることで熱暴走が防止でき、従来22Ω程度だったエミッタ抵抗を実に1Ωまで下げることができたのです。

更に、巧みな回路構成で電源ノイズの影響を回避しながら部品点数を減らしたことで、圧倒的な「音の鮮度」に結びついたといいます。これ以上シンプルに出来ない基本回路という意味で「Type-R(リファレンス)」と名付けたのだそうで、ここに恐ろしい程のS/N感とパワフルさを兼ね備えた無帰還アンプが完成したのです。


◆ 「ES9038PRO」を4個使用

DACチップには評価の高い「ES9038PRO」を片ch2個、計4個を使用。ディスクリート無帰還DACとしては不可欠なチャンネル当たり120mAという強力な電流出力を、前述の「Type-R Circuit」初段の直前でIV抵抗1本によって電圧に変換しています。


◆ 超低ジッタークロック

究極の低ジッター45fs(フェムト秒、フェムトはピコの1/1000)を誇るのDDS(シンセサイザー) LMX2594(テキサス・インスツルメンツ製)を搭載。出力されるマスタークロックで、DACからSACDメカまで完全に同期します。


◆ 巨大電源回路

写真のように、大量のフィルターコンデンサを使った無帰還電源を搭載。アナログ系電源は勿論、デジタル系の電源はSACDメカの下に詰め込まれています。筐体内部は、殆どが電源回路で占められているのです。

◆ NOS モード採用

同社D/Aコンバーター「D-2」で採用し、高評価を受けたNOS(ノンオーバーサンプリング)モードを採用。デジタルフィルター特性のインパルス応答で観測されるプリエコーやポストエコーが発生しません。

写真左のプリエコーやポストエコーは、データを補間するために前後のデータから演算で作り出した「人工的な音」で、音質の劣化や人間が非常に敏感な時間軸のブレが出てしまいます。

写真右はNOSモードの波形で、極めて過渡応答特性に優れた無帰還ディスクリートアンプとのコンビネーションによってのみ実現できるのだとしています。


◆ 2つの電源トランス

電源トランスはデジタル系とアナログ系を分離しており、左右両サイドのアルミベースに、別々にチタンスペーサーを介して、3点で浮かせたサンドイッチ構造でマウントされています。

更にトランスの振動は、それぞれのベースから1点スパイク接地によって逃がしています。これにより振動源が2つとなるダブルトランスによる混変調を回避しつつ、モーターやデジタルノイズのアナログ電源への混入も防止しています。


◆ SACDメカニズム

SACDメカには定評のあるD&M製を採用。このメカをアルミ削り出しのベースを通じて、1点スパイク接地でマウントされています。メカの振動をダイレクトに外部に逃がし、メカはしっかり固定されるという、フローティングとは違う理想的な構造です。


◆ スパイクフローティング天板

オーディオ機器の天板はない方が音が良いというのは常識です。しかし、ノイズの混入を考えればそれは不可能なことです。

ソウルノートは従来から天板をフローティングさせてきましたが、本機では天板自体がステンレススパイクでシャーシに掘られたスパイク受けに3点接地しています。更にアルミ天板を部分的に切削することで軽量化し、天板のない状態に近づけたのだとしています。


◆ 外部クロック「ZERO LINK」

外部クロックは10MHz(BNC 50Ω)に対応。また、「ZERO LINK」という正式には未発表のDVI端子による新しいリンク方式に対応しています。

これは、HDMIを利用するI2Sの欠点を補う究極のリンクだとのことで、全てのデジタル機器が『 S-3 』のDAC側のクロックで動作するといいます。従って、ネットワークプレーヤーを接続した場合も最強のクロックを持つことになり、本機の目指す「究極のデジタル再生システム」が実現するのです。

■ 最後に
SACD/CDプレーヤー『 S-3 』のコンセプト「究極のデジタル再生システム」(ソウルノートは「究極のデジタル再生ソリューション」と命名)は、これまでの説明である程度はご理解いただけたと思います。

《 全てが良い音のために 》ソウルノートが持つ独自のノウハウを駆使して『 S-3 』を完成させたのです。


▲ オーディオセッション in OSAKA 2019のソウルノートブースにて(上段が『 S-3 』)

従来、一体型CD(SACD)プレーヤーのデメリットといわれていた、ドライブメカや電源トランスの振動、それらから発生するノイズは、徹底的な振動&ノイズ対策で押さえ込み、PCMの弱点であるプリエコーやポストエコーによる時間軸のブレは「NOSモード」の採用で解決し、そして、SACDの弱点と巷でいわれる低域の厚み・押し出し感の欠如は、無帰還「Type-R Circuit」によって解決出来たのです。

これらにより『 S-3 』は、一体型のメリットであるドライブメカからDACまで最短配線が可能で、しかも内蔵の高品質クロックに直近で同期できること、さらにPCオーディオでのファイル再生における様々な問題(再生ソフト、USBフォーマット変換、USBケーブルやネットワーク系のノイズ等による音質への影響)を回避できる「究極のデジタル再生ソリューション」でもあるのです。

ソウルノートの技術者は、SACD、CDに関わらず、非常に分厚くダイナミックな低域と非常に繊細なS/N感抜群の高域という、相反する音が見事に達成できたといいます。奥行き表現と自然で生々しいサウンドは、従来のディスク再生の概念を打ち破ったと自信たっぷりでした。

また、高級SACD/CDプレーヤーに新しい選択肢が加わりました。デジタルディスク再生は【 不滅 】です。
(あさやん)


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