Blu-spec CD2
常にユニークな視点とテーマでアルバム作りに取り組んできたイゴール・レヴィットの最新作は(またしても)2枚組の大作。人生と存在に関する偉大な問いを探求し、有名なレパートリーから非常に珍しいレパートリーまでを網羅してきたイゴールの新作のテーマは“トリスタン”である。“トリスタン”といえばワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」がまず思い出されるが、1857年から1859年にかけて作曲されたこの曲の前奏曲の冒頭で聴かれる精妙な和音進行は、その後の20世紀音楽への道を用意したと言われる。そしてこの曲に影響を受けて現代の作曲家ヘンツェが作ったのがピアノと電子音楽テープと管弦楽のための「トリスタン」。ヘンツェ作品はウェルザー=メスト指揮するゲヴァントハウス管との共演でこちらも注目されるだろう。 (C)RS