カテゴリから選ぶ

[ 2020年 9月 8日付 ]

 marantz ラグジュアリーデザインのグローバルモデル ネットワークSACDプレーヤー『 SACD 30n 』、プリメインアンプ『 MODEL 30 』デビュー!【前編】

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

貴方は、marantz(マランツ)ブランドからどういう型番が浮かんできますか。ベテランのオーディオファイルの方は何と言っても銘機「Model7」「Model8B」でしょう。 私は残念ながら現役時代の「Model7」とは遭遇していませんが、パワーアンプの「Model 500」やプリメインの「Model1250」、CDプレーヤーの「CD-34」など、鮮明に記憶に残っています。

そんなマランツから新登場のネットワークSACDプレーヤー『 SACD 30n 』と、プリメインアンプ『 MODEL 30 』をご紹介します。

従来の型番ならSACDプレーヤーの頭は「SA」、プリメインの頭は「PM」ですが、今回は『 SACD 』と『 MODEL 』となっていることからも、マランツのこれら製品に対する意気込みが伺えます。



マランツは、今年(2020年)の初めにSACDプレーヤー「SA12 OSE」とプリメインアンプ「PM12 OSE」、いずれも35万円(税別)を出したばかりです。

なのに、それらより8万円(税別)も安い『 SACD 30n 』と『 MODEL 30 』を立て続けに発売していることに疑問を持ち、マランツの担当者に質問した所、前者は日本専用モデルであり、後者は世界を相手にしたグローバルモデルであるから、開発の経緯は違うのだとのことでした。

それでは、今回は【前編】としてネットワークSACDプレーヤー『 SACD 30n 』から始めます。今年2月に発売されたばかりの、価格的には上位機に当たる国内限定モデル「SA12 OSE」との違いを含め、詳しく見てまいりましょう。


■ ネットワークSACDプレーヤー『 SACD 30n 』



まず印象的なのはそのデザインです。マランツ伝統の左右対称デザインを受け継ぎつつ、従来製品のデザインから完全に脱却し、エレガントで実に現代的なデザインです。

中心部のアルミパネルが浮き上がって見える斬新さ、外側のパネルがライトによって照らされることによって織りなす陰影のなんと美しいことか…。従来の国産オーディオ機器にはない斬新さです。

その辺りをマランツの担当者にお聞きした所、このデザインはヨーロッパのデザイナーによるもので、ヨーロッパサイドの思い入れが非常に強く、日本側が押し切られたのだそうです。

私個人としては、型にはまった従来デザインに比べ、欧州人のセンスの良さが顔に表れた、思わず使ってみたくなるような優れたデザインだと思います。

【ディスクリートDAC】

本機が回路的に最も注目されるのが、殆どのデジタルプレーヤーで使われている汎用のESSやAKMのDACチップではなく、マランツの完全オリジナルのディスクリート D/Aコンバーター《 marantz Musical Mastering(MMM) 》が、同社のフラッグシップ「SA-10」と同一の回路構成のまま搭載されていることです。


MMM-Stream


MMM-Conversion

『 MMM 』は「MMM-Stream」と「MMM-Conversion」で構成されており、「MMM-Stream」は独自のアルゴリズムによってPCM信号を1bit DSD信号に変換し、「MMM-Conversion」に送ります。「MMM-Conversion」は入力された1bit DSD信号をアナログFIRフィルター(ローパスフィルター)によってダイレクトにD/A変換するという極めてシンプルな回路です。この結果、原音に忠実なアナログ信号が得られるとしています。

DACをディスクリート化するメリットは、DACチップではデジタル回路とアナログ回路が同居せざるを得ないのですが、「MMM-Stream」をデジタル基板、「MMM-Conversion」をアナログ基板に分割でき、その間にデジタル・アイソレーション回路を挿入することで、デジ/アナ各ステージの完全分離が図れ、高周波ノイズによる音質への影響も排除できるとしています。

【超低位相雑音クロック+ジッタークリーナー】

「SA12 OSE」同様、44.1kHz系と48kHz系の「超低位相雑音クリスタル・クロック」を採用。2系統のクロックを再生ソースのサンプリング周波数に応じて切り替えて使用することで、最適なクロック信号が供給できます。

さらに、ネットワーク再生では避けられない、長距離伝送で劣化してしまうクロックの品質を向上するため、高性能の「ジッタークリーナー」を採用。劣化したクロック信号に含まれる揺らぎやノイズを取り除き、高品位なクロック信号を供給することで、明瞭な定位と見通しの良い空間表現に貢献できるとしています。

マランツの担当者曰く、ジッタークリーナーの採用によるコストアップは大きかったが、ネットワーク再生時の音質が、ついにCDと同等になったのだと胸を張っておられました。

【オリジナル・メカエンジン】

本機専用設計のオリジナルメカ「SACDM-3L」を搭載。光学系と制御系は「SA12 OSE」用のメカ「SACDM-3」と同一回路やパーツとしつつ、ディスクローダー(トレイ)など機構系のパーツのコストを抑え、その分シャーシへの固定を強化して振動対策を強化しています。


オリジナル・メカエンジン

入念な振動対策により読み取り精度は十分確保できたとしており、この辺りの自由度こそ自社(D&Mオリジナル)メカならではです。さらに従来機では浅かったトレイのCDソフトを載せる溝(切り込み)も若干深くするなど、使い勝手も確実に向上しています。
※コラム中の「D&M」は、ディーアンドエムホールディングスのことでデノンとマランツの親会社のことです


トレイ部

【ネットワーク機能 & USB-DAC機能】

D&M独自のワイヤレスオーディオシステム「HEOS」のネットワーク機能により、音楽ストリーミングやインターネットラジオをはじめ、家庭LAN上のNASやPCなどの音楽、USBメモリやHDDに保存した音楽、スマホやタブレット、Bluetooth機器などの音源再生も可能です。(※DSDファイルは5.6MHz、PCM系ファイルは192kHz/24bitまで)

さらに、DSD:11.2MHz、PCM:384kHz/32bitに対応する最新スペックのUSB-DAC機能も搭載。DSD再生ではネイティブとDoPの両方式に対応。クロックはPC側のクロックを使うではなく、本機の「超低位相雑音クロック」によるマスタークロックで制御するアシンクロナスモードにも対応しています。

【充実のアナログ回路 & 電源回路】

アナログ回路にも手抜きはなく、マランツ独自の高速アンプモジュール(HDAM及びHDAM-SA3)を用いたフルディスクリート回路を採用。ハイスピードで情報量豊かなサウンドを実現したとしています。マランツのサウンドマスターとエンジニアが、音質対策パーツや新開発のカスタムパーツを使った試作・試聴を繰り返し、本機に最適なものを厳選し、とことんサウンドチューニングを行ったとのことです。


SACD 30n 内部

また、電源回路には漏洩磁束を抑えるため2重シールドを施した大容量トロイダルトランス、エルナーとの共同開発による大容量3,900μFのカスタム・ブロックコンデンサを採用することで、電源供給に余裕を持たせることで安定した音楽再生を実現しているのです。

【充実の機能】

  • 1.3段階ゲイン切り替えのフルディスクリート・ヘッドホンアンプ。ヘッドホンを接続していない時にネットワーク機能 & USB-DAC機能の電源は自動的にオフになり、他の回路への干渉を抑制します。
  • 2.音声出力に影響を与える可能性のある周辺回路からのノイズを抑えるため、ネットワーク機能やデジタル出力などをオフにする機能、ディスプレイやライティングのオフ機能を装備し、周辺回路から流入するノイズを徹底的にシャットアウトしています。
  • 3.アナログ出力は固定と可変を装備、4段階に明るさが変えられる有機ELディスプレイや、高級感のある重量級リモコンを装備。
  • 4.CD-R & CD-RW再生に対応、「Amazon Alexa」「AirPlay2」にも対応。



■ まとめ

『 SACD 30n 』は、そのラグジュアリーなデザインだけではなく、最新・最高峰のネットワーク & PCオーディオ機能と、「SA12 OSE」に匹敵するSACD/CD再生能力を身につけた最新鋭デジタルプレーヤーであり、先進の万能マシーンとも言えます。

音質を左右する重要な部分(ディスクリートDAC、ジッタークリーナー、アナログ回路、電源回路)には徹底的にコストをかけ、音声信号に少しでも影響を与える可能性のあるノイズ対策、コストを抑えつつ要所要所に徹底した振動対策を行うなど、ひたすら良い音のためにやり尽くした感があります。

それら高性能・高音質を確保した上で、ネットワーク機能 、USB-DAC機能、フルディスクリート・ヘッドホンアンプ、そして話題のAlexa、AirPlay2、Bluetoothにまで対応し、しかもそれらの音声出力への影響を徹底的に抑えています。

『 SACD 30n 』は高音質・多機能を兼ね備えた上で、価格的には「SA12 OSE」を下回る価格を実現。それこそ欧州をはじめとした世界をターゲットにしたグローバルモデルであることで可能としたのです。しかも国内生産(白河工場製)という信頼感も抜群です。今年(2020年)後半の大ヒットモデル?の予感がします。
(あさやん)


 ネットワークSACDプレーヤー marantz『 SACD 30n 』はこちら