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音場工房

[ 2021年 10月 26日付 ]



アキュフェーズより好評発売中!新製品プリアンプ「C-2900」を試聴してきました!



  • ichinose
  • こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

    今回は、前作「C-2850」の発売から5年、ついに最新作「C-2900」がアキュフェーズより発売されましたので、ご紹介します

    昨年発売された最上級モデル「C-3900」(2020年発売)の開発で培った数々のテクノロジーを継承して、大幅なグレードアップを達成しています。

今回最も大きな変更点であり注目すべき点は、最新の「AAVAボリューム」が「Balanced AAVA」に進化している点です。オーディオ信号が通過する主要回路は、全てディスクリート部品を組み合わせ、理想的な回路構成を実現しています。

さらに、微弱な信号を大きなゲインで増幅するフォノイコライザーアンプ「C-47」(2020年発売)の開発で培った最新技術が、低ノイズ化に貢献しており、これらの結果「C-2850」と比べてノイズ・レベルは、なんと約20%の減少を達成しています。

音楽家が全身全霊を込めた演奏を忠実に再現する「C-2900」は、 次の半世紀の幕開けを飾るにふさわしいプリアンプです。

バランス構成ボリューム ・ コントロール回路『 Balanced AAVA 』

一般的なプリアンプは、可変抵抗を使ってボリュームを調整するため、接点の劣化、いわゆるガリが発生したり、通常のボリューム位置でノイズが増加したりしてしまいます。

一方『 AAVA 』 は、 入力信号から大きさの異なる複数の信号を作り、その信号の組み合わせを切り替えて音量を調整します。したがって、ガリが発生せず、全てのボリューム位置で極めて少ないノイズ ・ レベルを実現できます。

「C-2900」では『 AAVA 』をバランス回路で構成した『 Balanced AAVA 』を搭載。ノイズ・レベルは従来機種より約20%減少しています。

低雑音化技術の集大成

『 AAVA 』を2回路バランス構成にした『 Balanced AAVA 』を採用。入力部で信号を大振幅化し、出力部で信号と同時に雑音を圧縮する手法を採用。

定格出力時S/N:113dB、入力換算雑音:-125dBV

入力部にカレント・フィードバック増幅回路を搭載

非常に高速でローノイズかつ優れた高出力電圧特性を兼ね備えた、カレント・フィードバック増幅回路を採用。インスツルメンテーション方式に発展させて搭載し、多数の『 V-I変換回路 』を強力にドライブ。

入力バッファー部で信号を大振幅化して伝送、後段で信号と共に雑音を圧縮することで低雑音化を実現。高ゲイン化の為、電源電圧の自由度が高いディスクリートアンプを採用しています。

静かで滑らかな操作感の『 ボリューム・センサー機構 』

AAVAは、ボリューム・センサー機構 でボリューム・ノブの位置を検出し、信号の組み合わせを切り替えて音量を調整します。

アルミニウム ・ブロックを超精密加工で削り出し、硬く重い素材を用いた『 ボリューム・センサー機構 』を自社開発、ノブ回転時の滑らかな動作、重厚な操作感、緻密な位置検出を実現しています。

また、 リモート・コマンダーによる操作時の動作音を抑え、 静かで快適な音量調整が可能です。

ボリューム操作時、アンプ本体の増幅度(ゲイン・モード)または、減衰量(アッテネーター・モード)を正確に表示

AAVAは、入力から出力までのアンプ全体の増幅度(ゲイン)をボリューム・ノブの回転により、正確に変化させることができ、その数値(dB)をレベル・ディスプレイ部に表示します。

プリント基板に、低誘電率・低損失の『 ガラス布フッ素樹脂基材 』を採用

信号伝送回路には、非常に高価な『 ガラス布フッ素樹脂基材 』によるプリント基板を採用。非常に低い誘電率と誘電正接をもち、高周波特性に優れ、耐熱性も良いので、主にマイクロ波と呼ばれるSHF帯を使用する衛星放送や高精度計測機器などに使われてます。

プリント基板の基材は、特に誘電率等が重要です。誘電率が低いほど信号の伝搬速度は速くなり、誘電正接が小さいほど伝送損失が小さくなります。

銅箔面に金プレートを施し、さらに信頼性や音質の向上を図っています。

ユニット・アンプ化した回路は左右独立構成、8mm厚硬質アルミニウムの強靭な構造部に固定

AAVAなど音楽信号回路は左右それぞれ6枚のユニット ・ アンプで構成されています。

これらのユニット・アンプを左右それぞれ『 8mm厚の硬質アルミニウム ・ フレーム 』で囲むことで、 電気的干渉や物理的振動を抑制。音質に悪影響を与えないように細心の注意を払っています。

左右独立の高効率トロイダル・トランスによる、モノ・コンストラクション構成の理想電源

増幅回路にエネルギーを供給する電源のクオリティーは、音質に大きな影響を与えます。電源トランスに、放熱フィン付き鋳造アルミケース入りの高効率トロイダル・トランスを2個採用。

フィルター用アルミ電解コンデンサーには、新規開発による10,000μFの大容量・高音質タイプを左右それぞれ2個ずつ搭載。負荷変動に強い余裕のある電源を構成しています。

入力アンプやフォノイコライザー・ユニットには、専用の安定化電源から電力を供給します。これら、モノ・コンストラクションの電源や、専用の安定化電源により、左右を含めてあらゆるアンプ間の相互干渉を防止し、電気的特性と音質を向上。

音質重視の専用ヘッドフォーン・アンプ回路を内蔵

本格的なヘッドフォーン専用のアンプを設け音質に配慮し、AAVA方式ボリューム・コントロールにより高音質で出力を可変することが可能。

ヘッドフォーン感度にあわせて、ヘッドフォーン出力レベルをLOW / MID / HIGHの3段階(±10dB)に切り替えるスイッチを装備。

アンプの回路方式は、フル・ディスクリート構成を採用。

合計8系統の入力端子と5系統の出力端子を装備

プログラムソースの多様化に備えて、多くの入・出力端子を装備。

入力端子はRCAラインが5系統、バランスが2系統、レコーダーPLAYが1系統の合計8系統。

出力端子はRCAラインが2系統、バランスが2系統、レコーダーRECが1系統の合計5系統。

その他の特徴

高い信頼性、バランス・コントロールも『 AAVA 』

入力ポジションに対応した位相設定が可能

プリアンプのゲインを選択可能(12dB、18dB、24dB)

高音質、長期安定性に優れた、ロジック・リレー・コントロール信号切替回路

外部プリアンプとの切り替えができる「EXT PRE」機能

聴感上のエネルギー・バランスを調整する「コンペンセーター」機能

ハイカーボン鋳鉄高音質インシュレーター

自然木「本木目」鏡面仕上げのウッドケース

別売りのフォノイコライザーユニット「AD-2900」を増設するとアナログレコードの高品質再生が可能となります。

日本橋店にて試聴してきました。

スピーカーは話題のB&W「804-D4」を接続、パワーアンプには「A-75」を使用しました。比較試聴として前作モデル「C-2850」と比べてみました。

・ハイエンドオーディオ担当 "とうふ" の試聴記

立ち位置的には「C-2850」の後継だが、内部設計、部品からの仕様を見ると完全に「C-3900」の弟分です! 部品類も上位モデルから採用されたものが贅沢にも使われており、聴く前からワクワクが止まりません。

「C-2850」と比較しましたが、同じ音源の1音目の出だしからスケール感の違いに「この表現は2000番台の表現ではなく、完全に3000番台の表現に至っていますね」と開発の方に言ってしまいました。それほどの変化量があり、音の奥行、上下の空間が明らかにスケールアップしているのです。

しかし音の密度は薄まることなく、密度感は濃く、色気のあるサウンドを楽しめます。女性ヴォーカルの声の艶感、場を支配する空気感に思わずうっとりとしてしまいました。

過度な脚色は無く、一音一音をひたすら丁寧に表現する。

「C-2900」は唯々アキュフェーズらしい表現力を磨きぬき、上位モデルである「C-3900」寄りの表現力に大きく進化しているのを感じました。

・ハイエンドオーディオ担当 "ichinose" の試聴記

価格は「C-2850」の1,408,000円から、1,430,000円へと僅かの28,000円の差額に留まってますが、中身は大幅にグレイドアップされており、かなり「C-3900」に肉薄しているのではないでしょうか。

左右のツマミ周りの装飾も「C-3900」と同様の鏡面仕上げになっており。見た目の高級感もアップしています。

試聴では、「C-2850」を聴いてから接続を変えて「C-2900」と比較しました。

明らかに透明感がアップしており、聴感上のSNの改善が聴いて取れます。音場はノイズレベルが改善されており、余裕が生まれた感じで、奥行だけでなく上下にも広がりとても快適、音像の表現にも余裕があり、エネルギー感を伴いながら丁寧に繊細に表現されています。

隅々まで丹念に磨き上げられたサウンドは大変心地よくもあり、一皮剥けた進化を感じさせます。

アキュフェーズらしさを保ちつつも、海外のハイエンドブランド製品のような清々しさや躍動感も感じますので、このプリなら海外製の様々なパワーアンプとの組み合わせも、ぜひ試してみたいと感じました。

同時発売の専用フォノイコライザー「AD-2900」も「C-47」のノウハウによりグレイドアップされているとの事なのでお勧めいたします。





今回ご紹介した機種