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[ 2018年1月16日付 ]

人気商品ラックスマン真空管セパレートアンプ「CL-38u」「MQ-88u」のカスタムモデルが登場!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
ラックスマンは、2011年発売の人気真空管セパレートアンプ「CL-38u」「MQ-88u」を、内部構成部品の大幅なグレードアップに加え、プリ筐体の横幅を標準的な440mmに拡張し、さらに魅力度を増したカスタムモデルとして、『 CL-38uC 』と『 MQ-88uC 』を登場させました。早速その内容を見てまいりましょう。


■ JJ社製真空管など、パーツのグレードアップと、プリ筐体のワイド化を実現!

真空管プリアンプ『 CL-38uC 』のデザインは"これぞ! ラックスマン"ともいえるオリジナリティ溢れるデザインを継承しています。このデザインこそ1968年発売の銘機「SQ-38FD」以来、連綿と続く同社の顔であり、シンボルデザインでもあります。

ちなみに、筆者自身もこのデザインに憧れオーディオに足を踏み入れたこともあり、今でもリスニングルームの片隅には、ほぼ同じデザインの「CL-35II」を静態保存しています。 ※オリジナルデザインはマランツ「Model7」ともいわれています。

前作「CL-38u」「MQ-88u」の発売から丸6年、その間にラックスマンは、ハイエンド真空管パワーアンプ「MQ-300」や、真空管プリメインアンプ「LX-380」などを発売してきています。それらの開発で得られた技術とノウハウを生かし、音質をさらに磨き上げたのです。

今回のカスタムモデル『 CL-38uC 』と『 MQ-88uC 』は、前作と回路構成的には大きな差はないようですが、装備や外観に加え、使用真空管に信頼性の高いスロバキアのJJ社製を採用するなど、使用パーツの細かな部分でかなり強化されているようです。

■ 真空管プリアンプ『 CL-38uC 』

真空管プリアンプ『 CL-38uC 』は、前作「CL-38u」の横幅400mmに対して、ラックスマン製品の標準横幅サイズである440mmに拡張した新デザインの筐体となっています。これにより他メーカーのパワーアンプなどとデザインマッチングが取りやすくなりました。

前作同様、フォノイコライザーを内蔵しており、RIAA補正がNFタイプのEQ部を持つとともに、本格的なアナログレコード再生に対応するため、特にMC入力にはラックスマンならではの昇圧トランスを搭載しています。しかも左・右/Low・High2段階ゲイン毎に独立(計4基)のMCカートリッジ用昇圧トランスを搭載しており、前面パネルには新たにレバースイッチが設けられ、ここでMCカートリッジのゲイン切替えができます。

さらに、専用のバランス入力用トランスを介するバランス入力も新たに追加されており、最近のハイエンドオーディオの流れに沿った装備となっています。またフォノ入力の他にRCAタイプのライン入力も3系統装備されています。

使用する真空管(ECC83S×3本、ECC82×5本)こそオリジナルと同様ですが、今回はすべてを定評のあるJJ社製に変更し、回路動作の信頼性を向上させています。また、カップリングコンデンサーもニチコン製の高耐圧メタライズド・ポリプロピレン・フィルムコンデンサーとすることで、伸びやかで自然な音色を実現できたとしています。

その他、前作と同じくレコード再生時のウーハーのふらつきを抑えるローカット・スイッチ、モノラル再生時に便利なモノラル・スイッチ、細かな音質調節が可能な3段階(Bass:150/300/600Hz、Treble:1.5K/3K/6KHz)のターンオーバー切替式のLUX方式トーンコントロール、アルミ製小型リモコン、極太純正電源ケーブルなどが継承されており、非常に完成度の高いプリアンプとなったのです。

■ 真空管パワーアンプ『 MQ-88uC 』

一方、真空管パワーアンプ『 MQ-88uC 』もオリジナル同様の真空管(KT-88×4本、ECC83S×2本、ECC82×2本)を使用していますが、プリ同様すべてJJ社製に統一されています。特に出力管には、力強く厚みのある音色に定評のあるJJ製KT88を選別して、プッシュプル構成で採用したといいます。しかもビーム管を真空管本来の音質を引き出すべく3極管接続で使っていながら、25W+25Wを確保できています。

そして本機の一番の売りは、オリジナルは1系統しかなかったスピーカー端子が、最近のスピーカー事情(低インピーダンス化)に合わせ、本機の歪の少ないパワー感あふれる再生への適合性を高めるため、4・8・16Ωの独立した3段階のスピーカー端子を採用していることです。いずれのインピーダンスでも定格出力を確保しています。 ※スピーカー端子は、片chがCOM(common;共通)と4・8・16Ωの4端子になっており、6Ωのスピーカーなら通常8Ωに繋ぎます。それ以外に繋いでも壊れることはありません。

カップリングコンデンサーには、プリ同様にニチコン製高耐圧メタライズド・ポリプロピレン・フィルムコンデンサーを採用し、伸びやかで自然な音色を実現。回路的にはラックスマンの伝統的な手法である、入力段のパラレル化と、それに直結したドライバー段に実績のあるムラード型回路を採用することで、信頼感を向上させたとしています。

ラックスマン伝統の出力トランスには、オリジナル形状で復刻したアルミ・ダイキャストケース入りOY15型出力トランスを採用。電源トランスには粘り強い音質を実現するべく大容量のEI型、安定したパワー供給を実現する大型オリジナル・ブロックコンデンサーを搭載しています。そしてプリ同様極太OFCの純正電源ケーブルを付属させています。

また前作と同様に、真空管や他の大型パーツを保護するための網型のボンネットカバーを標準させていますが、今回のカスタムモデルの外観上のグレードアップとして、プリの大型化とともに、『 MQ-88uC 』のシャーシベースとボンネットにダークブラウンカラーを採用することで、ラックスマンの木箱シリーズとの親和性が高められました。

サウンドについては、筆者は試作機の段階でしか聴けていませんので、ラックスマンの技術者に最終的な音質についても直接お伺いしました。

試作機の段階での音質は、前作同様、真空管アンプのもつ中域に厚みがあり、温度感を伴ったリラックスして聴けるサウンドで、トランジスタアンプとは一味もふた味も違う実に人間的なものでした。しかし単なる懐古趣味的なサウンドではなく、そこには最新ソフトへの対応力(周波数レンジやダイナミックレンジ)も備わっていると感じました。

そして最終的にはさらに磨きが掛けられ、中域の厚みをそのままに、響きの良い艶やかな、真空管でしか実現できない世界が表現できたのです。

技術者いわく、カップリングコンデンサーに採用したニチコン製の高耐圧メタライズド・ポリプロピレン・フィルムコンデンサーが大きく効いて、サウンドの明瞭さを向上させながら真空管独特の自然なサウンドを実現できたとのことです。

3段階のスピーカー端子の採用は、スピーカーを選ぶことなくお持ちのスピーカーを実に力強くドライブでき、オリジナルよりもスピーカーを選ばなくなり、明らかにドライブ能力が向上したとしています。

■ 最後に
技術者の立場からは『 CL-38uC 』と『 MQ-88uC 』は、決して真空管的な音調を意識したのではなく、あくまで最近のハイレゾを含む高音質ソフトを再生する増幅素子として、真空管をチョイスしたのであって、それは音楽性を重視した結果だとしています。

さらに、アナログのMC型カートリッジのトランス入力による、オルトフォンタイプの低出力MCへの完璧な対応は、アナログファンに大いにメリットがあると思います。

ラックスマンのオリジナリティ溢れるデザインと、真空管アンプの音楽性豊かなサウンドが楽しめる『 CL-38uC 』と『 MQ-88uC 』こそ、酸いも甘いも知り尽くした、ベテランのオーディオ&音楽ファンにこそお使いいただきたい傑作真空管セパレートアンプです。(あさやん)



ラックスマン『 CL-38uC 』『 MQ-88uC 』

『 CL-38uC 』『 MQ-88uC 』で鳴らしてみたいスピーカー選!