カテゴリから選ぶ

[ 2018年6月5日付 ]

 アキュフェーズから、さらに頂点を極めた『 DP-750 』と『 T-1200 』が登場! 〜 SACDプレーヤーにも、FMチューナーにもまだやることがあった?! 〜
ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
日本のハイエンドオーディオ市場を引っ張り続けている、アキュフェーズ。国内同業他社が普及モデルを含めSACDプレーヤーや、チューナー市場から次々撤退していく中、オーディオファイル待望の一体型ハイエンドSACD/CDプレーヤーと、貴重なアナログソース源でもあるFM放送を高音質で提供するFM専用チューナーを発表しました。今回は、その『 DP-750 』と『 T-1200 』をご紹介いたします。



■ アキュフェーズ デジタル・ディスクプレーヤー『 DP-750 』

2013年発売の一体型SACD/CDプレーヤー「DP-720」の後継モデルで、ドライブメカニズムを従来のSONY製SACD対応メカに換えて、新開発メカ(基本メカはD&M製)を搭載。音質を大きく左右するDACチップには、従来のESS社製「ES9018S」から同じESS社製の「ES9028PRO」にグレードアップしたことが大きな変更点です。それでは詳しく見てまいりましょう。

【ドライブメカニズム】

新開発ドライブメカニズム

総重量10.5kgにも及ぶ重量級で、スピンドルモーターにアウターローター型ブラシレスDCモーターを採用。駆動には半導体素子を用いているため、機械的な接点がなく低振動と低騒音を実現できたとしています。これにより演奏時の動作音を従来機「DP-720」の半分(-6dB)に低減できたのです。これはオーディオリスニングにおいては非常に大きなメリットです。

SACDでの高速回転時の遠心力に耐えるように、極めて太く短い回転軸とすることで、芯振れによって起こる振動を低減。さらに回転時の偏心、偏重心、反りのあるディスクからの不安定な遠心力に耐えるべく、モーターを固定するシャーシを従来より高剛性のメタルシャーシとすることで、さらに振動を減衰できたのです。


弾性ダンパー

メカとシャーシの間には、高性能の弾性ダンパーにより防振(最大共振倍率を4dB低減)すると共に、メカを囲むブリッジを従来機より大きくすることで、空気を伝わる音波を遮断できたとしています。そして電源トランスで発生する振動(50Hz or 60Hz)がピックアップのアクチュエーターに伝わるのを防ぐため、防振ゴムを搭載して大きな効果を上げました。

これらのメカと筐体の徹底した振動対策が、自身の回転による振動はもちろん、外部の僅かな振動も受けにくくすることで、従来機からのグレードアップに大きく貢献しているのは間違いありません。

【D/Aコンバーター】

ES9028PRO

DACチップは、上級機「DC-950」に搭載されている「ES9038PRO」に迫る電気的性能をもつ「ES9028PRO」にバージョンアップ。これは同社としては初の採用となります。片方のch当たり8回路を並列駆動(DSD時はMDSD、PCM時はMDS+回路として動作)させています。スペック上は、S/Nが「DP-720」から1dBアップの120dB、高調波歪率も0.0001%アップの0.0005%としています。いずれも保証値で、数値は僅かですが効果は大きいものがあります。また、あえてES9038PROを採用しなかったのは、音質的な差がほとんどないことと、一体型プレーヤーでは発熱対策が難しいためとしています。

『 DP-750 』は従来機同様USB-DACとしての機能を持ち、USB入力を装備しています。最大PCM:384kHz-32bit、DSD:11.2MHz対応(従来機は192kHz-24bitのみでDSD非対応)と大幅にグレードアップして、最新フォーマットにも対応しています。これでPCオーディオにも万全の体制となりました。

また、ケーブル1本でSACD/CDの両信号を再生できる同社独自の「HS-LINK」はVer.2規格(PLLが不要で送信側のクロックに依存)の送受信に対応し、PCM:384kHz-32bit、DSD:5.6MHzのデータ伝送が可能になりました。そのデジタル・オーディオ・インターフェースICには、旭化成エレクトロニクスの「AK4118A」を採用。ジッター量を大幅に削減したマスタークロックを生成することで、DACの変換精度を改善しており、COAXIAL/OPTICAL入力時にも効果を発揮しています。

デジタル入力時にはサンプリング周波数とビット数が表示(「DP-720」はサンプリング周波数のみ)されるようになり、データディスクとしてDVD-R/-RWやDVD-R/-RWに記録したWAV、FLAC、DSF、DSDIFFのフォーマット、サンプリング周波数はPCM:192-24bit、DSD:2.8/5.6MHz(「DP-720」はDSF:2.8MHzのみ)までの音楽ファイルに対応し、用途が大きく広がったのです。これは新しいメカの採用が功を奏しています。

このように『 DP-750 』は、スピードの速いデジタルオーディオの5年間の進化を全て取り込み、完全に消化したSACD/CDプレーヤーで、今や貴重なディスク・ソースとなったSACDソフトからも最高水準のパフォーマンスを引き出す、“究極の一体型ハイエンド・デジタルディスクプレーヤー”の完成です。

■ 「DP-750」を試聴


右最下段が「DP-750」です。左中が 「C-2850」。右中が「A-70」。右上が「DP-720」。

そのサウンドは、日本橋1ばん館で確認しました。

従来機「DP-720」では多少静的と感じたサウンドが、『 DP-750 』では、エネルギー感、躍動感を与えられ、立体感・奥行き感を伴ったリアルで伸び伸びとしたハリのあるサウンドに大きく変化していました。

特に音数の多さと中域の厚み・エナルギー感は、最近のアキュフェーズの高級アンプに見られる傾向とも合致しており、S/Nの良さとともにアキュフェーズの最新ノウハウが全てつぎ込まれていると感じました。

■ アキュフェーズ FM専用チューナー『 T-1200 』
アキュフェーズは創業時の1973年発売の「T-100」以来、絶えることなくチューナーを発売し続けており、特に「T-100」は創業者(高周波に強いトリオ出身)のノウハウをつぎ込み、当時としては超高額(135,000円)な製品でした。『 T-1200 』は2010年発売の「T-1100」以来実に8年ぶりの新製品で、ワイドFM(受信周波数上限:95.0MHz)に対応させています。

本機は最新の高周波テクノロジーと最先端のデジタル技術を融合し、かつての高級FMチューナーとは全く違うアプローチをしています。送信アンテナ近くで発生する大入力妨害と遠距離の微弱電波のいずれにも対処すべく「2段複同調構成」のフロントエンドとし、「ダブル・スーパー・ヘテロダイン」方式で中間周波数の信号を得ています。

ここからが本機の肝で、この信号をA/Dコンバーターでデジタル(PCM:48kHz-16bit)化し、DSPセクションに送られるのです。その後、混信に威力を発揮する「可変IF帯域フィルター」、都会で問題となるビルなどの反射波を軽減する「マルチパス・リダクション機能」などをDSPの領域で行うためS/Nも確保でき、かつてのFM受信時の難題を見事に解決してくれるのです。


レベルメーター

最後がD/Aコンバーターで、各chにMDS(ΔΣ)方式のDAC回路が2系統用いられ、バランスとRCA端子から出力されます。D/A変換をせず同軸デジタル(S/PDIF)出力もあるため、他のD/Aコンバーターでも楽しめます。さらに従来機では10局だったステーションメモリー数を20局に倍増、電波の強弱やマルチパスのレベルをモニターするアナログメーターを装備するなど、"究極のFMチューナー"を完成させています。


リアパネル

■ 最後に
FM放送をお聴きになるオーディオファイルが少なくなっているとは言うものの、NHK-FMでは貴重なソースが放送されることもあり、数少ないアナログソフトとして、まだまだオーディオファイルに楽しんでいただけると思います。

このようにSACDとFM放送という今となっては希少価値のあるソフトにも、価値を見出して新製品を出し続けてくれるアキュフェーズこそ"日本のオーディオ界の宝物"と言えるブランドではないでしょうか。(あさやん)


アキュフェーズ『 DP-750 』『 T-1200 』


人気のブリティッシュサウンド・ブックシェルフ型スピーカー