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DALIを代表する「MENUET(メヌエット)」のスペシャル・エディション『 MENUET SE 』誕生!!

2020.6.9

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、ダリを代表するコンパクトなブックシェルフスピーカー「DALI MENUET」のスペシャル・エディション(SE)をご紹介します。

現行製品(レギュラーモデル)の「DALI MENUET」から、さらなる魅力と可能性を引き出すため、新たなチューニングが加えられ、デザインもSEならではの豪華なものに変更されています。その辺りを順に見てまいりましょう。

■スピーカー専業メーカー「DALI(ダリ)」とは?


DALI(以下 ダリ)は、1983年世界有数のスピーカー生産大国デンマークで、ピーター・リンドルフ氏によって創業された、創業37年のスピーカー専業メーカーです。ダリは当時リンドルフ氏の傘下にあった販売店組織(ハイファイクラベン)のPBブランドだったそうです。当時同店で輸入販売していた「B&W」を目標に製品開発に取り組んだと言うことです。

因みに「DALI」は「Danish Audiophile Loudspeaker Industries」の頭文字をとったものです。同社製品のデザイン性の高さから、スペインの有名画家「サルバドール・ダリ」と関連があると思われがちですが、全く関係はないようです。

1983年に「DALI-2」や「DALI-3」などのオーソドックスなスピーカーを発売。1980年代後半からは、リボン型トゥイーター搭載の音場型スピーカー「SKYLINE 2000」や、平面型スピーカー「Dacapo」などのユニークなモデルを発売。そして1993年に初代「MENUET」を発売したのです。

その後はご承知の通り、2003年の「HELICON」あたりから急速に人気ブランドとなり、多数のラインナップを取り揃え、今や日本国内では「B&W」としのぎを削るブランドとなりました。

日本への輸入は、1986年にアブサートロンによって開始され、その後1990年からクロスオーバーに、そしてデノンラボ、そして2008年デノン(現D&M)と変遷してきました。

ダリは、当初から「オーディオ装置の存在を感じさせずに、もっと気軽に音楽を心から楽しんでもらいたい」という願いの下、”Musical Emotion(音楽の豊かな感情)”を標榜して開発を行ってきました。

通常スピーカーは周波数特性が重視されがちですが、ダリは特に位相特性に着目して、ドライバーとネットワーク回路の完全なマッチングを図るべく、時間と費用をかけて開発しています。そして何より、フラットなインピーダンス特性とすることで、急激な負荷変動をアンプに与えない”アンプに優しい”設計となっています。

余談ですが、2019年に改訂されたダリの新ロゴバッジが、スピーカーでは初めて本機で採用されました。ロゴマークがイタリック体からゴシック体に変更されています。

  • ダリ『 旧ロゴ 』

  • ダリ『 新ロゴ 』

■ 『 MENUET 』の歴史


「DALI MENUET」こそ、ダリを代表するコンパクトなブックシェルフスピーカーで、その系譜は、 1992年発売の「DALI150 MENUET」から始まりました。

そのデザインや音質傾向は、 1994年発売の「ROYAL MENUET」、 2009年発売の「MENTOR MENUET」に受け継がれ、現行の「DALI MENUET」(2015年発売)は、その第4世代モデルです。 (注:2013年に創業30周年記念モデル「MENTOR MENUET SE」が限定生産されています。)

「MENUET」のサウンドは、 27年余りに渡り熟成され、きめ細かな艶のある高域、コンパクトサイズのスピーカーとは思えないような迫力の低域等、様々な表情を見せることで、日本市場では特に高く評価されてきました。

『 MENUET SE 』は、すでに3年前に「MENUET」25周年記念モデルとして企画されたのですが、発売が遅れてしまったようです。また、ダリの製品はシリーズ展開されていますが、「MENUET」だけは従来から一機種のみのソロ製品です。

■ワイルドウォルナット・ハイグロス仕上げのエンクロージャーを採用


エンクロージャーの素材こそ、レギュラーモデルと同じ高剛性のMDFですが、外装はワイルドウォルナット(天然木の突き板)を入念に仕上げたグロスフィニッシュになっています。

ワイルドウォルナットは高級車のダッシュボードにも使われる独特の玉模様が特徴です。全面ハイグロス塗装が施され、マット仕上げのレギュラーモデル(ブラックを除く)よりサウンド的にも良い影響を与えると思われます。

ただし、本製品では天然木の風合いを生かすため、個体によりその木目が異なり一品一様で、すべての個体に玉模様が現れるわけではないそうです。

ダリでは製造時、20セットずつスピーカーの音響特性を揃え、L/Rを決めてから、模様をできるだけ合わせて出荷するそうで、左右の模様が異なるのも『 MENUET SE 』の特徴です。

■ネットワークやスピーカーターミナルをグレードアップ


ネットワークの内部配線は、一般的な銅線からダリオリジナルの銀メッキの無酸素銅(OFC)線へとグレードアップされ、ネットワークボードも、従来のハードボードからより堅牢なベークライト・ボードに変更されています。

音質に大きな影響を及ぼすコンデンサですが、レギュラーモデルは、高域用/低域用とも、汎用の中国製電解コンデンサだったのに対し、SEでは高域用にフィルム・コンデンサ、低域用には電解コンデンサを採用。いずれも独Mundorf製の高級コンデンサに変更されています。

さらに、入力部となるスピーカーターミナルについても、レギュラーモデルでは同社「RUBICON」グレードのターミナルでしたが、SEではより堅牢で大型の「EPICON」グレードのターミナルへとグレードアップされ、より確実にスピーカーケーブルをホールドします。

■真鍮製のシリアルナンバー・プレートを装着


本機はスペシャルエディションである証として、背面にあるシリアルナンバーをレギュラーのシールから真鍮製のプレートに変更。シリアルの刻印に加え、組立・検品担当者のイニシャルが書かれています。ダリのデンマーク本社の工場で、熟練の職人によってハンドメイドで丁寧に仕上げられた証拠でもあります。

■レギュラーモデルとの共通点


(1)ウッドファイバーコーンを採用したウーファー

きめ細かなパルプ繊維と木繊維の混合物で形成された、ダリのトレードマークとも言えるランダムな木繊維を混入したウッド・ファイバー・コーンを採用。ユニット全体にわたって気流の流れを最適化することで、エネルギー損失を防止する低損失技術で設計され、驚異的な低域再生能力を発揮します。

一方、ダリの最新スピーカーでは当たり前の、磁気回路に逆起電力対策を施したSMC(ソフト・マグネティック・コンパウンド)をあえて採用せず、「MENUET」シリーズのサウンドを踏襲しています。

(2)大口径ソフト・ドームツィーター

ツィーターには強力なマグネットを使用した28mmサイズの大型ソフトドームを採用。中高域をパワフルに再生し、ウーハーとのつながりの良さは、大型ツィーターならではです。

(3)斜めにレイアウトされたバスレフポート

斜めにレイアウトされたリアのバスレフポートにより、壁際へ設置した場合でも影響を受けにくい設計です。

■ 日本橋1ばん館で『 MENUET SE 』を試聴しました


試聴環境:DENON「DCD2500NE」→ DENON「PMA-2500NE」→『 MENUET SE 』

レギュラーモデルとの比較では、さらにヌケが良くなり、コンパクトなスピーカーとしては異例な程の吹っ切れ感です。縮こまらず、伸びやかな鳴りっぷりの良い伝統の「MENUET」サウンドを踏襲しています。

また、ネットワークの改良や仕上げの良さが、さらなる低音の伸びや高域の滑らかさを実現。オリジナル以上に、スケール感の再現やボーカルの温かさを引き出していると感じました。特に口が小さく、空中に浮かぶ様は秀逸でした。

レギュラーモデルとの価格差を、どうお取りになるかは人によって違うとは思いますが、少なくとも、この仕上げの美しさや本国の職人によるハンドメイドの信頼感、そしてスペシャルエディションであるというのは何事にも代え難いと感じました。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)