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JBLから、ヒット作「L100 Classic」を小型化した『 L82 Classic 』誕生!

2020.7.10

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、往年のJBLサウンドとデザインを継承するコンパクト・スピーカー『 L82 Classic 』をピックアップ。

「L100 Classic」の意匠を受け継ぎながら低価格に抑え、ブックシェルフとして扱いやすい大きさにダウンサイジング。小型化により設置性の自由度を向上させています。

■ JBL「L100 Classic」と比較


2018年の年末に発売された人気の「L100 Classic」直系のモデルとして登場したのが、今回取り上げます『 L82 Classic 』です。30cmウーファー・3ウェイ・約27kg(1台)の「L100 Classic」が、人気の一方で大きくて重たいという意見があったことを受けて、今回 20cmウーファーを搭載した2ウェイスピーカーとして小型化を実現したのです。

「L100 Classic」は、1970年代を代表する銘機「L100 Century」の流れを汲むモデルです。その「L100 Century」は、1971年、当時JBLの最小の業務用モデルであった「4310」をベースに、信頼性・高音質をイメージしやすいプロ機のエッセンスを取り入れて開発されたスピーカーでした。

同社では初のプロ用と民生用の区分をまたいだ製品で、その後のスタジオモニター”43シリーズ”の大ブームにも繋がった伝説のスピーカーです。「L100 Classic」は、「L100 Century」を半世紀ぶりに復活させた製品です。

その時代「JBL」は、業務用と並んで民生用でも次々とヒット作を生み出しており、「L88 NOVA」「L88 Plus」「L64A」や、大型の「L200」「L300」などが斬新なデザインで人気を博した一方で、小型ブックシェルフ・2ウェイの「L16」「L26 Decade」や「L40(A)」などが大ヒットし、当時のオーディオブームもあって、ビギナー層や音楽ファンから圧倒的な支持を得て、いずれも大ベストセラーとなりました。


左『 L82 Classic 』右「L100 Classic」

『 L82 Classic 』は前述の「L16」と同じ20cmコーンで、JBL伝統のホワイトカラーのピュアパルプコーンを採用。「L100 Classic」に搭載した「JW300PW-8」を小型化させたという8インチの「JW200PW-6」を採用しています。

コーン紙にはホワイトカラーのピュアパルプコーンを使用し、フレームを高剛性のアルミダイキャストとすることで低音再生時の不要な振幅を抑制しています。JBL伝統のロングボイルコイル設計により、迫力のある低音の再生を目指しています。

一方、ツイーターは「L16」で採用されていたコーンではなく、「L100 Classic」のツイーターと同口径の25mmピュアチタン・ドームツイーターを最新バージョンとして搭載しています。

同社がプロ機で培ってきたショートホーンタイプの大型フェイスプレートとフェイズプラグを採用しており、現代のワイドレンジな高解像音源のポテンシャルを引き出すことが可能だといいます。指向性をコントロールすることでウーファーとの繋がりがスムーズになっています。


ドームツイーター

ネットワークには高品位な回路を採用し、フロントバッフルには今となっては珍しいJBL伝統のアッテネーターが配備され、高音域の連続可変が可能です。リスニングの環境やお好みに応じて高域特性の微調整が行えます。これは積極的に使って欲しい機能です。

キャビネットは上位モデル譲りの堅牢なものとなっています。前面のバスレフポートの開口部には、内外ともフレアを設けたスリップストリーム・ポートを採用して、ポートノイズ(風切り音)の抑制や低域の強調感に配慮し、設置環境による影響を受けにくいフロントバスレフとしています。

アルミダイキャストフレームのウーファーと、大型の前面バスレフポートが相まって、大出力時にも余裕を持って深い低音域を再現できたのです。

ヴィンテージデザインの『 L82 Classic 』は、美しいウォールナット突板仕上げのキャビネットと、立体的なキューブデザインが特徴的です。3色(オレンジ、ブルー、ブラック)のカラーリングから選択可能な、新設計の耐候性を高めたQuadrexフォームグリルを採用しており、ここも「L100 Classic」の個性的なエクステリアを継承しています。


3色のカラーリングを用意

また、専用のスチール製スタンド「JS-80」を使用して仰角をつけることで、ツイーターの指向性をリスニング・ポジションに向ける設計となっています。

サウンドも「L100 Classic」を継承しており、低域の量感こそ若干劣るものの、比較的小さめのお部屋なら『 L82 Classic 』の方が遙かに鳴らしやすいのではと感じました。

また『 L82 Classic 』は、決してクラシック音楽を品良く穏やかに楽しむためのスピーカーではなく、ジャズをダイナミックに実体感を伴って、かぶりつき感を持って、十分な大音量で楽しみたいジャズファンにこそお勧めしたいと思います。

一方で、時代の要求もあってやはり過去の荒々しいだけのサウンドではなく、高域再生においては艶やかで高精細な面も併せ持ちつつ、8インチウーファーから『 L82 Classic 』のコンパクトなサイズからは想像もできないクラスを超えたダイナミックかつ生き生きとしたライブサウンドを部屋中に満たしてくれます。

まさに“これぞJBLサウンド”です。サイズを超えた音圧感とレンジ感でジャズの旨み・楽しさを再現してくれます。スタイルこそノスタルジックですが、オリジナルにはなかった最新ソフトに対応するための情報量を確保しつつ、JBLサウンドの伝統的な音楽の持つエッセンスやリアル感を兼ね備えているのです。

高域から低域まで幅広いダイナミックレンジを持ったJBL伝統のハツラツとしたサウンドはもちろん、最新のアコースティックパーツによって、バランスが良く、自然な音質を再現することにも努め、現在に通じるサウンドを目指しています。

“憧れのJBLサウンド”が、1970年代の“憧れのデザイン”を纏って復活したのです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)