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マッキントッシュ『 MA8900 』が、人気のLUXMAN「L-509X」、Accuphase「E-650」に加わって、個性的な3機種"三つ巴"となった、ハイエンド・プリメイン市場!!

2018.2.16

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、国産プリメインとは一味もふた味も違うマッキントッシュ『 MA8900 』を特集! 上位機「MA9000」、出力トランス付きでは最も安価な弟機「MA7200」とともに徹底解説してまいります!

■三つ巴となったハイエンド・プリメイン市場


昨年(2017年)来、中級セパレートアンプに代わりハイエンド・プリメインアンプが注目を集めています。年末から人気となっているLUXMAN「L-509X」、Accuphase「E-650」に新たにマッキントッシュの新製品『 MA8900 』が加わって、三つ巴の様相を呈してきています。

マッキントッシュは昨秋、プリメインアンプを総入れ替えしました。「MA5200」が「MA5300」に、「MA6700」が「MA7200」に、「MA7900」が『 MA8900 』に、そして最上級機の「MA8000」が「MA9000」として生まれ変わりました。

■マッキントッシュの歴史


まずはマッキントッシュの歴史から軽くおさらいします。 マッキントッシュはFrank H. McIntoshによって1949年にワシントンで創立されました。その後、現在のニューヨーク州に本拠を移し、有名なGordon J. GowとSidney Corderman がエンジニアとして加わり、70年近く続く同社の基礎を作り上げました。

1950年代から70年代にかけて隆盛を極めたオーディオブランドは数多ありましたが、現在その殆どが原形をとどめていなかったり、辛うじて名前だけが残って実体は新興国に移ってしまっていたりと様々です。しかしマッキントッシュは、創立当初からの高級オーディオ路線を今も守り続け、フィロソフィやテクノロジーを営々と継承して来た数少ないブランドです。

しかし、70年の月日の間には数々の紆余曲折もありました。オーディオ不況が始まった80年代中頃には業績が低迷し、1989年に二代目社長のガウ氏が急逝するという不幸が追い打ちをかけたのでした。結果、1990年日本のクラリオンに買収され、我々業界人は誰もが「マッキンもこれまでか」と考えたものでした。

しかし、クラリオンが目指したカーオーディオでのマッキントッシュ・ブランド製品の展開に失敗、続いて2003年D&Mホールディングス(扱いは当初従来通りエレクトリ、後にマッキントッシュ・ジャパン)に売却されましたが、これも想定通りには行かず、結局2012年にファインサウンズ・グループ(イタリア)の一員となり経営も安定、現在に至っています。

マッキントッシュには創立当初から以下の様なこだわりがあります。
@同社の製品作りは"音楽への愛情"を背景とし、最先端技術を実用的に精錬して、恒久的な信頼性と安全性を得ること。〜エモーショナル・レスポンス・フォー・ミュージック。

A同社は今でも品質重視の考えから、あらゆる部品を自社生産しています。〜基板への部品の装着やハンダ付け、シャーシの板金加工、出力トランスの巻線作業、ガラスパネルの製作や塗装に至るまで総て。

B同社のアンプは完全性と永続性を求めて、伝統的な漆黒のフルグラスにイルミネーションを施したフロントパネルデザインを採用。〜視認性の高いグリーンの文字、ブルーのメーター(ブルー・アイズ)そこには"メイド・イン・USA"への強いこだわりがあるのです。

■ 『 MA8900 』とは?


さて、本題に入ります。『 MA8900 』は、伝統のデザインを継承しつつも、現在的なコンセプトを取り込んだプリメインアンプで、DACとフォノイコライザー、5バンドのトーンコントロールまで装備した超多機能アンプです。もちろん同社ならではの出力オートフォーマーを搭載した新時代のマッキントッシュを代表するプリメインともいえる内容です。

出力は、2/4/8Ωのいずれにおいても200W+200Wを達成。トーンコントロールは30Hz、125Hz、500Hz、2kHz、10kHzの5バンドで調整可能。アナログ入力は、LINEが6系統のアンバランスと1系統のバランスを装備、PHONOはMCが1系統とMMが1系統(いずれもアンバランス)という充実ぶりです。

また、本機には最近のマッキントッシュアンプでは定番となっている、各種デジタル入力(USB、同軸、TOS、MCT※)を装備しており、最新のデジタルオーディオモジュール「DA1」を採用し、すべてのデジタル入力を独立したスロットイン・モジュールに統合することで、そのモジュールの交換で将来出現する新たなフォーマットにも対応できるとしています。 ※MCT:マッキントッシュ専用のDIN(8pin)デジタル入出力

今回、新たにDACチップにはESSテクノロジー社のES9016Sを採用し、従来機では非対応であったDSDにも対応し、USBではDSD256(11.2MHz)、PCMでは384kHz/32bit(DXD:384kHz)まで対応し、最新スペックを達成しています。

パワーアンプはいかにもマッキントッシュと言える構成で、出力段はマッシブな構成のバイポーラトランジスターによる4パラプッシュプルで片ch200Wを実現。スピーカーの駆動はもちろんマッキントッシュのマッキントッシュたる所以でもある出力トランス(オートフォーマー)を搭載し、格別の安定感と信頼感を約束してくれています。

もちろんフロントデザインは従来のマッキントッシュを継承し、シンメトリカルな堂々たる風貌です。そこに今回、デザインと実益(放熱効率を高めた)を兼ねた、"Mc"ロゴをあしらった新デザインのマッキントッシュ・モノグラム・ヒートシンク(McIntosh Monogrammed Heatsinks™)を採用し、魅力を高めるとともに、大いに所有欲も満たしてくれます。

■堂々たるサウンド!


サウンドは、やはりマッキンサウンドそのものでした。包容力のある暖色系で、たっぷり感のある色合いの濃いもので魅力的です。

特にジャズでは粘り気のある中低域がググッと押し出され、力感の伴った実に爽快なサウンドです。クラシックのオーケストラでは、低域が深く重厚で、そのスケール感に圧倒されました。中高域は艶やかで潤いのある温かなものでした。

この堂々たるサウンドには本当に魅せられました。

MA7200」は、『 MA8900 』の5バンドのトーンコントロールをバス/トレブル(+/-12dB)に変更しただけのように見えますが、サウンドには若干の違いが感じられ、サウンド全体がスリムになり、多少明瞭度が上がったのではと感じました。オートフォーマーはもちろんパワーも200W+200Wで同じにもかかわらず、少しあっさり目と感じました。しかし20万円の価格差は、サウンドだけでは感じないとも付け加えておきたいと思います。


一方、「MA9000」は300W+300W(2/4/8Ω)とパワーが増強され、フロントパネル中央には25Hz、50Hz、100Hz、200Hz、400Hz、1kHz、2.5kHz、10kHzの8バンドのトーンコントロールが装備され、低域のイコライジングをより細かく追い込んでいけます。しかし聴き進むとそれだけではないことは明かになりました。

「MA9000」は、実に主張のはっきりしたアンプで、そのたっぷり感は秀逸で、筋肉質の弾力感は「これぞ!マッキン」の面目躍如と言えるサウンドでした。これがプリメインの音かと我が耳を疑いました。それ程にスケール感、躍動感は、音楽を心底楽しませてくれるサウンドでした。ただし、それに見合った価格にはなってしまっています。

■最後に


そんなマッキントッシュのプリメイン3兄弟を比べてみますと、やはり狙い目は『 MA8900 』ではないかと筆者は感じます。100万円を越える出費なら、将来性・発展性を考えると、やっぱりセパレートアンプの魅力が当然大きくなってしまいます。

そういう考え方から、今回のタイトルのように、人気のLUXMAN「L-509X」、Accuphase「E-650」に『 MA8900 』が加わることでハイエンド・プリメインの選択肢が増え、ご自身が目指されるサウンドが、セパレートアンプという大規模な構成を取らずに、これら個性的な3機種からお選び頂けるようになったのです。

筆者としては、「ジャズファン、JBLファンならやっぱマッキンでしょ!」というのが本音のところです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)