カテゴリから選ぶ

1bitアンプの最終型!リリック Nmode「X-PM7」

2015.3.24

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、デジタルアンプに否定的な考えをお持ちの方にこそ、ぜひ耳にしていただきたい1bitデジタルアンプの最終型ともいえる、Nmode「X-PM7」をご紹介します。

  • 1bit(DSD)プリメインアンプ N-mode X-PM7

■Nmode(エヌモード)ブランドを擁するリリック(Lyric)というメーカーとは


Nmode(エヌモード)ブランドで有名な株式会社リリック(Lyric)は、2008年に鹿児島県の志布志市で創業した、新進気鋭のオーディオメーカーです。現在はデジタルアンプを中心に、各種オーディオコンポーネントをラインナップしています。

創業者である布村常夫氏は、家電メーカー シャープの出身者で、同社を2006年に退職後、起業され、今日に至っています。私は布村氏のことをシャープ時代から存じ上げており、当時の家電メーカーにあって、オーディオ知識の豊富さに感心しました。布村氏が関わった1bitアンプの最終型が、今回取り上げる「X-PM7」なのです。

■1bitアンプについて


Nmode「X-PM7」の魅力に迫る前に、布村氏が関わった、Nmodeアンプのルーツともいえる「1bitアンプ」について、時系列でご説明しましょう。

まず、シャープで1999年の「SM-SX100」「SM-SX1」に始まり、2001年「SM-SX200」、2004年「SM-SX300」、2005年「SM-SX10」と5機種が開発されました。その後、Nmodeブランドから、2008年「X-PM1」、2009年「X-PM2」、2010年「X-PM10」などが登場しています。

  • SM-SX100

  • X-PM1

Nmodeの1bitアンプは、初代の「X-PM1」こそ《PWM方式》(パルス幅変調:可変のパルスの幅および正負により、波形を表し生成する)のデジタルアンプで出発しましたが、2代目の「X-PM2」からは、シャープ時代から布村氏が手がけていた《PDM方式》(パルス密度変調:一定幅のパルスの密度および正負により、波形を表し生成する。SACDに用いられるDSDのΔΣ変調にも使われる)をさらに発展させたものを採用しています。

1bitアンプの解像度は、サンプリング周波数に大きく依存しており、最新の「X-PM7」では12MHzと、「X-PM1」の2.8MHzから4倍以上にも達しています。この数値は現時点で、ほぼDSDの実用限界に近い数値を実現しているのです。

1秒間に1,200万回の超高速サンプリングを時間あたりの分解能にすると、実にCDの270倍にもおよび、これによりマルチビットでは到底表現できなかった、スムーズさとスピード感のあるリアルサウンドを実現できたとのことです。

■Nmode「X-PM7」とは


最大出力は、8Ωで17W×2、4Ωで25W×2と比較的小さいものです。デジタルアンプは、通常のアンプと違い、信号が入った場合だけ動作するため、エネルギー効率が抜群に良いことから、低価格のデジタルアンプでは当たり前のようにスイッチング電源が使われるのですが、「X-PM7」では、あえて本格的なアナログ電源を搭載しています。

これは、1bit(DSD)アンプは、サンプリング周波数と出力に比例した、瞬間的な電流がほぼ100%一気に必要とされるため、たとえ25Wといっても瞬間的なピークパワー電流を供給できる強力な電源が必要なためです。ちなみに、私が本機をかなりの音量で数時間使用しましたが、発熱はほとんどありませんでした。

さらに、増幅回路はもちろん、電源トランスや電源回路まで左右独立しており、大容量のRコア電源トランス、高性能な導電性高分子電解コンデンサーやショットキーダイオードなど、高性能な部品が多数つぎ込まれています。

  • X-PM7 内部

これらの結果、「たった25W、されど25W」として、決して100Wや200Wのアンプにも駆動力で負けることはないとNmodeは断言しています。やはり、『アンプでの最重要部分は電源である』との考え方は、オーディオを知り尽くした開発者ならではのものだと思います。

筐体も非常にしっかりと作られており、重量は10kgではありますが、その体積からしてもズッシリしたものを感じます。ボリュームノブやスイッチ類の使用フィーリングは良好です。

スピーカー端子は極太ケーブルにも対応できる、銅メッキの高級大型タイプを採用しています。スピーカー端子のマイナス側は2系統あり、片chあたり3個あります。2系統のうち、Hmodeは通常のスピーカーに、Lmodeはニアフィールドでの小音量時のS/N重視のリスニングに適したものと分けられています。

  • X-PM7 背面

  • スピーカー端子部 拡大
    (左がプラス、中央がLmode、右がHmode)

■自宅で試聴しました

  • 中央上段が X-PM7

ソースは主にUSB-DACを経由した音楽ファイルで、ハイレゾとCDからのリッピングソフトを音源として使用しました。試聴は、バーンインCD(ノードスト「TD1」の47曲目)を約1時間ほど中音量にてリピートで鳴らしたあとに実施しました。

私の第一印象は、「さわやか」「優しい」「滑らか」「軽やか」「まろやか」でした。どこにも引っ掛かりを感じないスムーズで緻密なサウンドで、これは「X-PM7」の歪み感のなさとスピード感のある表現力ゆえだと思います。

高域ではシンバルが非常に自然である一方、ピアノのペダルを踏む超低音も胴鳴りを伴ってハッキリ聴き取れました。非常にフラットな広帯域再生を実現していると感じました。

ジャズでは若干細身で、コッテリ系の汗が飛び散るような荒々しいものではなく、お行儀の良いハイセンスなサウンドでした。また女性ボーカルでは、唇の開閉の音まで聴き取れるほど生々しく、適度な湿気も含んでおり、その声は清潔感のあるクリアなものでした。

さらに、クラシックでの情報量はハイエンド機に匹敵するもので、左右モノラルコンストラクションを採用していることもあって、セパレーションが非常に良好。空間感・立体感もリアルで、ミュージシャンの姿・形まで見えるように感じました。

■電源ケーブルを替えてみると…


最後に、電源ケーブルを自作のサエクのPC-Triple C導体を採用した切り売りケーブル「AC-6000」に替えたところ、さらにハイスピードなサウンドとなり、透明感も歯切れの良さも加わったことを付け加えておきます。

そして、「Model 125」をBTL接続の500Wモノラルアンプとしての印象は、エネルギー感が圧倒的で、ダイナミックレンジがソフトに入っているままに再現されていました。頭を押さえつけられた所が微塵もない、実に伸びやかで自然なサウンドに、時間が経つのも忘れて聴き惚れてしまいました。この大きさのオーディオ機器で、このサウンドが実現できることに改めて感動しました。

デジタルアンプへの抵抗感をお持ちのオーディオファイルも、この「X-PM7」の最先端サウンドには脱帽されると思います。シャープの1bitアンプから綿々とつながる『1bitデジタルアンプの最終型』といっても過言でないリアルサウンドをぜひご体感ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)