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平面型スピーカーの実力に驚いた!『 MAGNEPAN MG0.7 』のサウンドに感動!

2015.8.3

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、日本の住宅事情に多少配慮されているものと思われる平面型スピーカー『 MAGNEPAN MG0.7 』を取り上げます。平面型スピーカーの欠点を可能な限り克服し、オーディオファンの理想に近いスピーカーに進化しました。試聴した感想も合わせてご覧ください。

MAGNEPAN 平面型スピーカー MG0.7
(画像はオーバル型のアクリルスタンドタイプ)

■私の理想は「箱のないスピーカー」

私の理想のスピーカー像は、「箱(エンクロージャー)のないスピーカー」です。

それは、箱のあるスピーカーの限界でもある「スピーカーユニットの前後振動の結果に生じる背圧(後方に放射される音圧)の音への影響」があるからです。

箱があることによるプレッシャーがユニットの動作に影響し、そこから逃れることが難しいのです。

もし仮に、振動に影響されないスピーカーを作ろうとしても、超巨大なスピーカーエンクロージャーが必要になるため、それは非現実的なことです。

スピーカーにおける箱(エンクロージャー)の存在は、低音再生のための「必要悪」とも言われる所以です。

私にとっての理想のスピーカーは、箱のないスピーカー、それはいわゆる平面(プレーナー)型といわれるスピーカーなのです。その平面型のスピーカーを創業以来製造し続けているのが、米国MAGNEPANです。

■箱のないスピーカーを作り続けるMAGNEPAN社

MAGNEPAN社は、米国ミネソタ州のホワイトベアレイクに拠点を置いているスピーカーメーカーです。

創業者のJim Wineyは、1969年にそれまで唯一の平面型スピーカーであったコンデンサー型スピーカーに代わる、優れた方式の平面型スピーカーを発明したのでした。

通常、コンデンサー型と同様に薄膜振動板を使用するのですが、駆動方法を工夫した結果、コンデンサー型に必要な電源が要らなくなったのです。

それは、リボン型スピーカーをヒントに、薄膜をコンデンサー型のような静電気ではなく、マグネットの力で駆動する、いわゆる「MAGNEPAN方式」といわれる方法でした。

この独自の方式は、創業以来45年以上経た現在も変わることはありません。長年の技術の蓄積と、地道に改良が重ねられた結果が、最近の同社の製品群です。

ちなみにMAGNEPAN社のスピーカーは、その部品のほとんどがMade in USAであり、ホワイトベアレイクの自社工場で、創業時と変わらず製造されています。

■日本の住宅事情を意識したサイズの「MG0.7」

今回取り上げるMAGNEPANの平面型スピーカー「MG0.7」は、ジョーシン日本橋1ばん館にて試聴できましたので、その時の感想もあわせてご説明いたします。

「MG0.7」は、同社の人気モデルである中級機の「MG1.7」と入門機ともいえる「MMG」との「大きさ」「価格的」にちょうど中間に位置するモデルです。

背の高さは1,373mmと「MG1.7」に比べると約30cm低くなり、椅子に座ってのリスニングでは、ほとんど圧迫感を感じません。おそらく、日本の住宅事情に多少配慮されているものと思われます。

■ナチュラルサウンドが魅力「MG0.7」

「MG0.7」のユニット構成は、同社オリジナルの「Quasi Ribbon(クワージリボン)」をウーファーとツィーターに採用した2ウェイスピーカーです。

この非常に軽いクワージリボン振動板による優れた過渡応答特性から得られる超ハイスピードサウンドと、先に述べたエンクロージャー(箱)の影響がない、すなわち色づけのないナチュラルサウンドが、「MG0.7」の最大の持ち味です。

さらに、前後に均等に音波が放射されることによる、広々として包み込まれるような自然な音場感は、平面型スピーカーならではのサウンドです。

■平面型の欠点を可能な限り克服

この平面型スピーカーにも欠点はあります。

それは、スピーカーの後ろ側にも音が出てしまうことで、スピーカーの後ろの状況により出てくる音が影響を受けることや、高域の指向性もドーム型のツィーターなどに比べ若干狭くなることです。

また、大音量や十分な低音を出すためには、振動板自体を大きくする必要があり、どうしても大型になってしまわざるを得ないことです。

それらの欠点を可能な限り克服し、その平面型スピーカーのメリットを最大限発揮させようとしたのが、この「MG0.7」でもあります。

■ オーディオファンの理想に近いスピーカーに進化!

ハイエンドのオーディオファンが、スピーカーシステムに求め続けている2つの大きなテーマがあります。

その一つが「過渡応答特性」です。すなわち、音の立ち上がりと立ち下がり、いわゆる反応の早さ「スピード感(ハイスピード)」と、音のない時の静けさ「S/N感(S/Nの良さ)」です。

そしてもう一つが、私自身も最も重視しているエンクロージャーの影響から解き放たれた「開放感」と「自然な音色」と「バランスの良さ」、そしてスピーカーを意識させない「音場感」です。

しかしそれらを実現するのは並大抵ではありません。

例えば、「過渡応答特性」を良くするには、エンクロージャーを無振動・無共振の超重量級にする必要があります。

また、「自然な音色」を得るにはフルレンジユニットだけでスピーカーを構成する必要がありますが、可聴帯域全てをカバーできるフルレンジは物理的にも難しいモノがあります。

これらオーディオファンの理想のスピーカー像をほぼ解決してしまうのが、この「MG0.7」ともいえます。

■試聴しました

試聴は、日本橋1ばん館リファレンスルームで行いました。ただ、どうしても試聴室という条件のため、理想的な設置(後ろが堅い壁面)はできなかったことをお断りしておきます。

ドライブアンプにはアキュフェーズ「C-2820」と「A-70」を使用、ソースは主にCD/SACDソフトを使用しました。大音量時にピークメーターが100Wを超えることもありましたが、破綻することはありませんでした。

■感動した「ヌケの良さ」

まず、音を出した瞬間の「ヌケの良さ」に感動しました。

何のプレッシャーも感じさせない、透明感、繊細感、鮮度感…。それはユニットの振動板だけの音、これこそ箱のない良さだと実感しました。違和感のある響きも全く付いてこないのです。心が洗われるようでした。

また、私自身、過去に聴いたコンデンサー型スピーカーのイメージから、「平面型=低音が出ない」という思いこみがあったのですが、この「MG0.7」の自然な厚みのある中低域は、これまでの思いこみを一挙に払拭したのでした。弦楽器の音色も金属的にならず、温かでマイルドに再生できたのでした。

一番の気がかりでもあった低域も、非常に広い試聴室という悪条件にも関わらず、量感は十分で、重低音の音圧レベルには多少限界は感じましたが、通常のリスニングには全く問題ないレベルの低音を再現できていました。また、過去の平面型スピーカーに感じた、左右の位相差による違和感や、耳への圧迫感も全く感じませんでした。

ボーカルもその大きさから口が大きくなるのではと心配ではありましたが、口は小さくセンターに浮かびました。コーラスでも一人一人が見えるように分離し、分解能の高さを伺わせました。クラシックのスケール感も十分再現し、音数も多く、ホール感も自然でした。

■いつものリファレンスソフトで検証

最後に、私の試聴の定番であるリヴィングストン・テイラー「ink」の自然な湿度感のある口笛は抜群の生々しさでした。この「MG0.7」の自然で、肩の凝らないサウンドは、長時間のリスニングでも全く疲れを覚えない、良い意味での最高のBGMサウンドであるともいえるのではないでしょうか。

過去に、スピーカーをこれでもか!これでもか!と買い換え続けて来られた、耳の肥えたオーディオファンにはきっと気に入っていただけるのではないかと思います。それほど、通常のスピーカーとは別格の自然で耳当たりの良いスピーカーです。

■ お部屋のインテリアに合わせた選択を

MAGNEPAN「MG0.7」は、お部屋のインテリアに合わせて、2タイプ、各2色が用意されています。

従来からの少し斜めに設置するスタンダードタイプのスタンドと、デザイン性に優れ、より安定度が増した楕円型のアクリルスタンドを採用したモデルです。

このアクリルスタンドモデルは、さらに重心が下がった量感のあるサウンドになっているようです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)