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A級アンプの素晴らしさを実感!アキュフェーズ「A-47」の魅力!

2015.11.6

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
A級アンプの魅力は、体験した人だけが感じる贅沢と言えるでしょう。本日は、純A級パワーアンプの醍醐味を実感できる、アキュフェーズのA級アンプ群の中堅に位置する「A-47」の魅力をご紹介します。

Accuphase 純A級パワーアンプ A-47

■音質重視のA級アンプ

アキュフェーズのパワーアンプには、パワー重視のAB級パワーアンプ4機種と、音質重視のA級パワーアンプ4機種の計8機種の豊富なラインナップがあります。

ここで、AB級アンプをパワー重視と書きましたが、これはあくまで、A級アンプに対しての比較上のことであって、ぜひとも誤解はなさらないでいただきたいと思います。

ご存知だとは思いますが、A級アンプは、動作原理的には最も音質が良いとされる方式です。

アンプの増幅特性はリニア(入力信号に比例した出力信号が得られること)であることが理想なのですが、どうしても音の立ち上がる部分である微小信号時の増幅率が低い(増幅特性がリニアでない)ため、回路にバイアス電流をかけることで、増幅特性のリニアな部分だけを使って増幅するのがA級アンプの特徴です。

この結果、+側と−側で別々の増幅素子を使うことがないため、クロスオーバー歪み(それぞれの増幅素子の出力が混ざる際に出力信号が歪む)の問題がなくなり、音質的なメリットは非常に大きくなります。

しかし、無信号時でも常にバイアス電流が流れるため、消費電力が大きくなり、アンプ自体かなりの発熱量となり、アンプとしての効率は良くありません。

発熱は無信号時が最大であり、音量を上げる程に温度が下がるという、通常のアンプとは逆の現象が起こります。如何に「無駄飯食い」か、お解りいただけると思います。

また、出力信号の最大振幅が小さくなってしまうため、原理的に出力は同規模のB級アンプの4分の1程度になってしまい、大出力のアンプを作ることは難しくなってしまいます。

裏を返せば、A級アンプで同じパワーを得るには、同出力のB級アンプの4倍の規模の電源が必要ということになるのです。

■私がA級アンプにこだわる深い事情

それは、私がオーディオを初めて間もない約40年前の1970年代初頭まで遡ります。

当時私は、それまで使っていた安物のアンプを買い替えたいと考えていて、色々なオーディオ誌を読みあさっていました。

その中で、私はその後の私のオーディオライフに大きなインパクトを与えることになる、ある記事に目が止まったのでした。

それは、私が憧れていたオーディオ評論家の菅野沖彦氏の記事でした。

そこには彼のリスニングルームの写真が出ており、同氏のサブシステムであるアンプとスピーカーが置かれていたのです。それは非常に美しく、とにかくモダンで、それまでの私のオーディオ機器に対するイメージを完全に覆すほどのカルチャーショックとなったのです。

その製品こそ、YAMAHAのプリメインアンプ「CA-1000」であり、BRAUNのスピーカー「L-710/1」でした。

この組み合わせこそ「私が求めていたオーディオだ!」との一心で、それまでアルバイトで貯めたお金を投げ打って、買ってしまったのでした。

実はこの「CA-1000」には、パワー部のA級・B級動作の切替えがフロントのスイッチでできるという、画期的な機能が付いていたのです。

その変化に魅せられ、以後、A級アンプにこだわり続け、今日に至っているのです。

※一方のBRAUNについては、またの機会でお話し出来れば…と思います。

■パワー重視のAB級アンプ

一方のAB級は、現在ほとんどの市販のアンプに採用されている増幅方式で、入力信号の小さい時にはバイアス電流を上げ、大きい時にはバイアス電流を下げることで、電力効率を高めたものです。

A級動作とB級動作のメリットを併せ持った方式ですが、B級アンプ同様、クロスオーバー歪みの問題は避けては通れません。

ちなみに、B級アンプは増幅効率を高めるため、やや音質を犠牲にすることで、より大出力を得ようとする方式です。

そのため、前述の増幅特性がリニアでない部分も使用するため、どうしてもクロスオーバー歪みから回避できないと言うのが欠点です。大出力は得やすいものの音質的にはやはりA級、AB級アンプよりは不利となってしまいます。

■アキュフェーズ「A-47」とは

今回取り上げる、アキュフェーズ「A-47」は定格出力45W×2(8Ω)で、30W×2(8Ω)のエントリー機「A-36」の上級機にあたり、同社のA級アンプ群の中では最も安定した需要が見込めるランクの製品です。アキュフェーズのA級アンプの中では、中堅に位置します。

2006年発売の「A-45」からのシリーズで、他社のA級アンプほど歴史がある訳ではなく、比較的新しいアンプになります。ちなみに、同社の「A-200」は1991年の「A-100」から、「A-70」は1993年の「A-50」から、「A-36」は1995年の「A-20」からと、長い歴史があります。

初代の「A-45」に続き、2011年には「A-46」が発売され、今回の「A-47」はあくまで「A-46」に同社の最新ノウハウを注入して熟成させたもので、奇をてらったり、特に革新的な部分はないのですが、それこそが安心の証であり、失敗の選択は起こりえないと断言します。

デザイン的にも、フロントパネルのボタンが1つ増えた程度でほとんど変化はありません。内部の増幅素子であるMOS-FETも、前作と同一だということです。

グレードアップの内容を簡単にまとめてみますと、アキュフェーズのA級パワーアンプのフラッグシップ機でもある「A-200」の開発・商品化で得られた技術を、中級機に移植したということになるのです。

それは小さな改良の積み重ねの結果で、あえて数字的に目立つものといえば、ダンピングファクターが 500 から 600 にアップ(音の立ち上がりの改善)したことと、残留ノイズが 26μV から 18μV に下がったことで、大きな差はありません。

その他の改良点としては、NFBをスピーカー端子の直近からかけることにしたことや、保護回路を通電時の抵抗値の低いMOS FETスイッチに変更したことです。

これらが、最終的に「A-47」のサウンドに少なからず影響しているようです。

■試聴しました

試聴は、いつも通りのJoshin日本橋1ばん館の試聴室で行いました。

聴く前に想像していたA級サウンドを鳴らしてくれました。マイルドで歪み感の全く感じない、温もりを感じさせるもので、特に弦楽器のしなやかさはA級ならではのものと納得しました。

この滑らかな上品さは、私のA級アンプに抱いているイメージそのものです。

また、前作「A-46」との比較では、低域の充実感、伸びやかさでは明らかに上回っており、56,000μF×2の大容量フィルターコンデンサー搭載による電源の見直しが効いているようです。(ちなみに、A-46は47,000μF×2の大容量フィルターコンデンサーを採用)

さらに音像もくっきりと浮かび上がり、さらに緻密なものとなっています。音場の見通しも良くなり、音楽の再現性も前作を上回っていると感じました。

そして何より、私がA級アンプに最も期待する艶っぽさや色気、人間的な温かいサウンドが「A-47」ではさらなる高みに達したように思えます。

出力が45W×2(8Ω)とはいえ、前述の強力な電源の搭載もあって、パワーメーターが振り切れる程に入力を加えても、歪み感や頭打ちを感じることはありませんでした。

スピーカーが極端な低能率でなく、普通の音量でお聴きになる限り、アキュフェーズのA級の上級機を大きく上回るコストパフォーマンスを実現できていると思います。

このA級アンプでしか得られない贅沢さこそ、大音量・大迫力とは対極のオーディオの醍醐味です。

やっぱり、A級アンプは素晴らしいと改めて感じたのでした。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)