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ジェフローランドのセパレートアンプの実力とそのサウンドの魅力!

2015.1.9

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
先日、ジェフローランドの比較的リーズナブルなプリアンプ「Capri S II」と、2014年の夏に発売されたパワーアンプ「Model 125」の組み合わせで、じっくり試聴する機会がありました。時間が経つのも忘れて、聴き惚れてしまうほど素晴らしかったので、今回は、ジェフローランドが持つ『 魅惑のサウンド 』について、ご紹介します。

■ジェフローランド( Jeff Rowland Design Group )というメーカーについて


創業者であり、同社の代表でもある Jeff Rowland は、アメリカ テキサス州ダラスの技術専門学校において基礎的な電気技術を習得した後、業務用機器の名門「アンペックス社」に就職して、入力信号の処理に没頭しました。

1984年に独立し、「Rowland Research社」を立ち上げますが、大阪市のコンピューター楽器メーカー「ローランド」と混乱を避けるため、合意の上、社名を現在の『 Jeff Rowland Design Group (略して、Jeff Rowland D.G.) 』に変更しました。

日本では、1986年に「Model 7」でデビューを果たした後、プリアンプ「Synergy」「Coherence」、パワーアンプ「Model 2」「Model 6」などのヒット商品を矢継ぎ早に発表。米国ハイエンドを象徴するブランドとなったのです。

■辿り着いたのは『 静かなアンプ 』


同社は、音楽のエッセンスをそのまま届けたいという理想に燃え、他のオーディオメーカーには及びもつかない数々のアイデアで、最先端技術と旧来の技術の融合を図った製品開発をしてきました。

例えば、ハードアルミ(ジュラルミン)の塊から削り出したシャーシは、振動と有害電波から内部の部品を守り、さらに、インプットターミネートトランスを搭載してラジオ周波の混入による音質劣化を防止しています。また、回路基板には表面実装パーツを多岐にわたって使用し、MIL規格(米国国防総省が制定した軍事規格)の組立工場で厳格な品質・工作管理の下に作られ、基板を小型化することで短距離シグナルパスを実現して、外部電磁波からの影響を低減するなど、アンプの低雑音化(S/Nの向上)を当初から追求してきました。

Jeff Rowlandは『 音楽には色があり、その色の豊かさを再現したいという考えから、再生音はあくまでナチュラルで、聴く人の心を癒す音楽 』を目指しています。そのためのアイデアは自然との対話によってひらめき、そのアイデアを具現化するために、さまざまなメーカーや技術者との交流を大切にして、豊かな音楽をどなたにでも味わえるような機器の開発を目指してきました。その結果、導き出した結論は《 S/Nの追求 》、すなわち《 静かなアンプ 》だったのです。

■Jeff Rowland氏との思い出


私は、Jeff Rowlandご本人と過去に2度お会いしています。それは、1997年と1999年です。彼は、身長2メートル近い細身の大男で、非常に真面目な、いかにも技術者といった雰囲気の好人物でした。

1回目(1997年)にお会いした時は、前年に「Synergy」が発売された直後でもあり、プリアンプに搭載されているライン入力側の「インプット・トランス」が、現在の著しいノイズ環境からアンプ内部を守るために最も効果的であり、音質の飛躍的な向上に繋がったというお話だったと記憶しています。

2回目(1999年)は、スイッチング電源を同社として初めて搭載した「Model 10」の発売直前というタイミングでした。当時(今でもそうですが)、ハイエンドオーディオの世界において、高い評価を受けているパワーアンプの殆どは大型重量級の製品ですが、彼は以前から、スモールサイズの最高性能のパワーアンプを造りたいというアイデアを持っていたそうです。完全主義者の彼を納得させるだけの高い性能と品質レベルをもった部品が航空宇宙・軍用として開発され、当時の最新テクノロジーと彼のアンプ造りのフィロソフィーや感性によって、小型で、かつてない最高レベルのパワーアンプをついに開発出来たというお話でした。

それから15年、ジェフローランドの最新鋭機、しかも比較的リーズナブルな製品が、いかに進化を遂げたかを確認するのが、今回の試聴の大きな目的でもありました。

■日本橋1ばん館 リファレンスルームでの試聴


試聴は、エソテリック SACDプレーヤー「K-07」に、ジェフローランドの「Capri S II」と「Model 125」の組み合わせが基本で、各種スピーカーを切り替えて行いました。また、「K-07」と「Capri S II」の間に価格的にはアンバランスですが、ジェフローランドのD/Aコンバーター「AERIS DAC」を使っての試聴や、パワーアンプ「Model 125」をBTL接続のモノラルアンプとして2台使用した試聴も実施しました。

プリアンプ「Capri S II」は、同社の上級モデルに搭載されているルンダール社製の入力トランスを左右独立で使用することで、高周波・電磁波ノイズ対策を徹底するとともに、一新されたコンパクトな回路基板に高精度なパーツを搭載し、さらなるハイスピード化を実現しています。また従来機と同様に、ハードアルミのブロックから削りだしたモノコックボディが、外部振動(オーディオ信号は振動により変調され歪みとなる)から内部の部品を守ると同時に、電磁波などの有害電波の侵入を防いでいます。

パワーアンプ「Model 125」は「Model 102」の後継機で、これもハードアルミのブロックから削りだされた非常にリジッドな造りで、パワーアンプで重要な熱伝導・熱拡散性に優れ、プリ同様、外部振動やノイズからのシールド効果も高くなっています。本機にもルンダール社製のインプットトランスが搭載されており、さまざまな入力機器に対して最適なインピーダンスマッチングが取れ、グランドループを遮断することで、外部ノイズの侵入を回避しています。増幅素子には最新型の「ICEパワー」が搭載され、125W×2の出力をこの小さな筐体で実現。さらに、リアパネルのスイッチを切り換えてBTL(ブリッジ)接続することで、実に500Wのモノラルアンプにできるのです。

■試聴結果


まず、その大きさ・規模からは想像できない本格的なサウンドでした。音楽のベースである低域が非常にしっかりした実にリアルなもので、深く厚く再現されました。音像は非常に立体的で、ボーカルでは歌手の大きさが判るほど。口も小さく、リファレンスルームのスピーカー後方にある、2枚の衝立状ルームチューニングパネルの隙間から、ボーカルが聞こえてきました。ストリングスは伸び伸びとした滑らかなもので、どこにも引っ掛かりを感じません。ギターのソロでも弦の張り具合、低域の胴鳴りも生々しいものでした。非常にハイスピードで立ち上がりが素晴らしく、サウンドが実に軽やかで、大音量でも決してうるさく感じることはありませんでした。

そして、「Model 125」をBTL接続の500Wモノラルアンプとしての印象は、エネルギー感が圧倒的で、ダイナミックレンジがソフトに入っているままに再現されていました。頭を押さえつけられた所が微塵もない、実に伸びやかで自然なサウンドに、時間が経つのも忘れて聴き惚れてしまいました。この大きさのオーディオ機器で、このサウンドが実現できることに改めて感動しました。

設計者である Jeff Rowland の創業当時からブレない姿勢、『 音楽には色があり、その色の豊かさを再現したいという考えから、再生音はあくまでナチュラルで、聴く人の心を癒す音楽 』が、確実に具現化したサウンドといえるのではないでしょうか。国産アンプでは再現できない、この『 魅惑のサウンド 』こそ、《 アメリカ・ハイエンド 》の神髄です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

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  • ジェフローランド|ステレオパワーアンプ|MODEL125
    会員様web価格 710,600 (税込)
    71,060 (10%) ポイント進呈
    2014年04月 発売
    ◆Jeff Rowlandで最もコストパフォーマンスに優れた高性能ステレオパワーアンプ
    ◆このクラス初の入力トランスを採用、グランドループノイズ、RFI/EMIを排除
    ◆ブリッジ接続によって500w/8Ωのモノーラルアンプへと魅力あるアンプに大変身